2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23500465
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
永福 智志 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 准教授 (70262508)
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Keywords | ニューロン活動 / 霊長類 / 顔認知 / アイデンティティ / 個人的親近性 / 脳梁膨大後部皮質 / 後部帯状回皮質 / 傍嗅皮質 |
Research Abstract |
母子関係に代表される個体間の関係形成が動物の社会性発達に本質的な役割を果たすことはよく知られている.このような個体間関係をもつ特定の個体に対する親近性(Personal Familiarity,以下,個人的親近性)は,顔の認知情報処理に非常に重要であることが示されているが,その神経基盤は不明な点が多い.本研究では,辺縁皮質に属する3つの領域,すなわち,脳梁膨大後部皮質,後部帯状回皮質および傍嗅皮質のニューロン集団による,(1)顔の個人的親近性と(2)顔のアイデンティティの表現様式の相違を明確にすることを目的として,複数のサルを用い,固視課題遂行中のサルの各脳領域から慢性的ニューロン活動記録を行う.視覚刺激として以下①~⑤の視覚刺激セットを使用する.①個人的親近性のある顔写真: 飼育室で飼育する他のサル,またはサルの飼育に携わっている人物の顔写真.②個人的親近性はないが視覚的既知性のある顔写真: サルが実際に見たことのない他のサルまたは人物の顔写真.③視覚的に未知な顔写真: ②と同様に,サルが実際に見たことのない他のサルまたは人物の顔写真だが,訓練には使用されず,ニューロン活動記録時にだけニューロン毎に異なるものを使用する.④種々の物体の写真: サルにとって既知または未知の種々の物体の様々な向きの写真(例:注射器など).⑤種々の風景や建造物の写真: サルにとって既知または未知の風景や建造物の様々な向きの写真(例:サルが実験室へ移動する際に通過する通路など).本年度はサルに認知課題の訓練を終了し,脳梁膨大後部皮質および後部帯状回皮質からのニューロン活動記録を行った.その結果,特定の顔や物体や風景の画像などの視覚刺激に選択的なニューロンが記録されたが,現時点で記録数はまだ少なく,更なる検索を行う予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
サルの行動課題の訓練を終了し,脳梁膨大後部皮質および後部帯状回皮質からのニューロン活動記録を行った.したがって,2おおむね順調な進展状況と思われる.
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Strategy for Future Research Activity |
特定の顔や物体や風景の画像などの視覚刺激に選択的なニューロンは存在するものの,現時点で記録数はまだ少なく,更なる検索を行う予定である.万が一,被験動物のサルに事故などが起きた場合は,新しいサルを被験動物に準備し,実験計画に支障をきたさないよう早急に対応する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該助成金が生じた状況: 本年度支出を予定していた旅費,人件費・謝金やその他の経費は,別の助成金を使用したため当該助成金が生じた. 翌年度分として請求した助成金と合わせた使用計画: 次年度使用額と翌年度分として請求した助成金との合計額は350万程度と見積もられるが,翌年度の実験補助のために研究員と研究補助員の雇用費用として250万程度(人件費・謝金の項),研究打合せおよび学会発表旅費として60万程度(旅費の項),発表論文の印刷費として40万程度(その他の項)の支出を予定している.
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