2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23500467
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三浦 健一郎 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20362535)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 運動視覚 / 眼球運動 / 生理学 / 脳・神経 / 神経科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
視覚像中に複数の動き要素がある場合には、要素の性質や要素間の関係に応じて二つ以上の動きが同時に見える場合や一つの動きのみが見える場合がある。また、眼の動き等の運動出力においては複数の要素が等しく寄与する場合や、統合あるいは選択された一つの動きのみが寄与する場合がある。本研究では、ヒトと動物を対象とした行動実験とサルを対象とした神経活動記録実験を行い、異なる視知覚や眼球運動の基となる視覚運動の脳内表現およびその情報処理機構の解明を目指している。 平成26年度はヒトとモデル動物を対象とした行動実験および構成的研究を実施し以下の成果を得た。齧歯類を対象とした行動実験では視運動性反応の時空間周波数特性を明らかにすると共にその特性に視細胞-双極細胞間のシナプス構造が影響を及ぼすことを示した(Sugita et al., 2015, in press)。ヒトを対象とした実験では多重運動に対する運動視知覚と眼球運動反応との比較から異なる脳の出力の基盤となる視覚運動計算メカニズムの類似点と相違点を明らかにした (Nohara et al., 2015, in press)。また、視覚運動計算モデルを用いた構成的研究では、大脳皮質MT/MST野の二重正弦波運動縞及び運動錯視刺激に対する応答について、運動方向選択性及び空間周波数依存性を持つユニット間の相互作用を仮定した一次運動検出機構のモデルで良く説明できることを示した。さらにそのモデルの出力からヒトや動物の眼球運動反応を再現できることもわかりNeuroscience2014で報告した。本研究課題の実施により視覚運動の脳内表現と情報処理機構に関する多くの研究成果を得たが、それらは日常遭遇する複雑な環境の中で行われる感覚情報処理の解明に寄与する重要な所見である。
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Research Products
(6 results)