2013 Fiscal Year Annual Research Report
分泌型シナプス形成因子と受容体の複合体によるシナプス分化及び神経回路構築機構
Project/Area Number |
23500469
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
松田 恵子 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (40383765)
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Keywords | シナプス / 海馬 |
Research Abstract |
我々は、シナプス間隙を跨いで形成されるneurexin-Cbln-GluDタンパク質複合体が、両方向性に機能的なシナプスを作り上げることを、小脳平行線維シナプスにおいて明らかにした。このneurexin-Cbln-GluDタンパク質複合体が、小脳以外のグローバルな領域で機能することを、海馬シナプスをモデルにして明らかにすることが本研究課題の目的である。 これまでの研究から、小脳以外の神経細胞、特に海馬CA1細胞TAシナプスと海馬歯状回シナプスにおいて、Cbln1-GluD1タンパク質が強く共局在することを明らかにした。受容体であるGluD1は、海馬CA1細胞では最も遠位部のTA層に、歯状回顆粒細胞においては、分子層中部に集中して局在化していた。このようにGluD1は樹状突起に一様に存在するのではなく特異的な領域に区画化されていることが明らかとなった。GluD1受容体に対するリガンドであるCbln1、Cbln4、あるいは両遺伝子のノックアウトマウスの解析から GluD1が樹状突起上において区画化して局在するには、Cbln1、およびCbln4が必須であることを見出した。 また新たに、Cbln1とは結合せずCbln4に対してのみ特異的に結合する受容体としてDCCを見出した。Cbln4によってシナプス後部受容体GluD1とシナプス前部のDCC受容体が繋ぎ止められていることも見出した。またDCC-Cbln4の結合は、neurexin-Cbln1によって形成されるシナプス結合を増強しうることを見出した。 本研究では、小脳で見いだされてきたneurexin-Cbln1-GluD2タンパク質複合体と同様に、海馬においてはneurexin-Cbln1/4-GluD1複合体が機能し、脳全体で普遍的な分子基盤であることを解明した。一方、Cbln4は小脳シナプスには存在していないので、小脳には存在していなかった新たなDCC-Cbln4-GluD1という分子基盤が海馬シナプスに存在することを明らかとした。
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