2013 Fiscal Year Research-status Report
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23500471
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
逵本 徹 生理学研究所, 脳機能計測・支援センター, 准教授 (00260042)
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Keywords | 大脳皮質 / 注意 / 律動波 / 睡眠 / シータ波 / ガンマ波 |
Research Abstract |
注意集中に相関してシータ波活動が前頭前野9野と前帯状野32野に出現すると考えられる。しかし、このシータ波が他の大脳皮質領野の活動とどのような相互作用があるのかは未解明である。また、このシータ波がどのような中枢神経機構により生成するのかも分かっていない。この問題を解決する手掛かりを得る目的で、ニホンザルの大脳皮質と海馬に合計約100本の電極を設置して電気活動を同時記録する実験を実施している。これまでに、光始動性と自発性の運動課題の実行中と、飼育ケージ内での自由行動中(睡眠中や摂食中や安静覚醒状態を含む)の脳活動の記録を行った。自由行動中の記録のためにはテレメータとビデオ記録システムを自己開発して使用した。記録および解析は現在進行中であるが、シータ波とガンマ波が関連して出現していることを示唆する所見を得た。異なる周波数の脳活動間での関連が認められる類似の現象は齧歯類で報告され記憶や認知の中枢神経機構との関連が示唆されているが、サルでの研究報告はまだない。今後、このシータ波とガンマ波の結合が状況によって変化するのか、運動課題や睡眠状態との関係を調べる。それにより、その機能的意義を明らかにしたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画通りに、(1)前頭前野9野と前帯状野32野の間の情報の流れを解析した。(2)大脳新皮質と海馬の両方から記録し、両者の脳活動の関係を調べた。(3)無線テレメトリー装置を使用して、睡眠状態を含む非拘束自由状態での脳活動を記録解析した。これにより、本申請時に掲げた4つの目的のうち3つを達成した。4つ目の単一神経細胞記録は未達成である。しかし、その代わり、申請時には想定していなかったシータ波とガンマ波の相互関連に関する興味深い所見を得た。これらのことから、全体として順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の申請時に掲げた目的のうち、未達成なのは、「単一細胞記録とシータ波活動の関係を調べること」の一項目である。この目的を達成するために、さらに実験を進める。また、シータ波活動とガンマ波活動が相関するという興味深い新事実を見いだした。この現象の詳細を明らかにしてその意義を解明するために、さらに例数を増やすとともに、Hilbert-Huang transformやWavelet解析などの洗練された手法を用いて解析を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
最大の理由は、外的要因による実験の遅れである。平成24年から平成25年にかけて、申請時に想定していなかった生理学研究所実験研究棟の改装工事が実施された。このため、1年あまりの期間にわたって測定実験実施が困難な状況となり、サルのトレーニング、データ解析、測定環境の整備に専念した。これらは測定実験よりも費用負担が少なかったため、次年度使用額が生じた。 実験の例数を増やすことが目下の優先課題であるため、主として以下の実験材料の購入に使用する予定である。ニホンザル、抗生剤及び消毒薬、電極材料など。
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Research Products
(2 results)