2012 Fiscal Year Research-status Report
平滑筋収縮フィラメント・リモデリングによるアクチンミオシン相互作用変調の仕組み
Project/Area Number |
23500475
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
渡辺 賢 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 教授 (60191798)
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Keywords | 平滑筋 / 収縮フィラメント / リモデリング / ATP / ミオシン / アクチン / X線回折 / NMR |
Research Abstract |
本研究の目的は、人為的に収縮フィラメント・リモデリングを制御できる平滑筋スキンド標本を用いて、フィラメント・リモデリングによる平滑筋収縮制御のメカニズムを明らかにすることである。平成24 年度は、平成23年度研究で得られた基礎データに基づいて、本実験を開始した。 1)a. 生理的標本を用いたX 線回折実験:モルモット盲腸紐またはラット肛門尾骨筋の細胞膜を化学的に破壊したスキンド平滑筋標本を用いて、生理的環境下で弛緩時、収縮時のX 線回折像を撮影し、赤道反射強度と力学応答の関係を経時的に記録した。又、ATP 濃度、温度等の環境を変化させて、それらが両者にどのような影響を与えるか検討を行った。ATP濃度減少、またはミオシン阻害薬によりミオシンのみならず、細い平滑筋収縮フィラメント配列についても攪乱が起こることを実証した。又、本年度の研究から代謝阻害がフィラメント構造錯乱に連関があることが明らかになった。 2)a. 生理的標本を用いた生理学、生化学的実験:X 線回折実験と同様の条件で、生理学・生化学実験析を行い、それぞれの比較検討を行った。特に、今年度は細胞内ATP濃度が平滑筋クロスブリッジ解離に与える影響を力学的・生化学的に測定し、代謝阻害の条件下では、収縮フィラメント配列攪乱により、クロスブリッジ解離とラッチブリッジ形成が抑制される証拠を得ることができた。 3)a. 1H- NMR 実験の予備実験:連携研究者の竹森らが開発した、骨格筋生筋及びスキンド標本の1H- NMR 実験から、T2 緩和時間の測定による筋収縮フィラメント格子内の水の構造変化を見積もる方法を用いて、平滑筋スキンド標本のアクチンミオシン相互作用の評価を試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験項目1)および2)については、順調に研究が進み、第54回日本平滑筋学会総会、第1回物質構造研究所サイエンスフェスタ、第90回日本生理学会大会等において、成果の一部を発表し、レビューを受けることができた。 実験項目3)については、東京慈恵会医科大学現有のNMR装置のメインテナンス等の事情 により、当初予定を完全には達成できていないが、現在の進捗状況を考慮すると、平成25年度末までには当初予定を達成できると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本実験を継続して遂行する。、人為的にフィラメントリモデリングを行った 平滑筋標本を用いた生理学的・生化学的・構造生物学的研究を順次遂行する。又、昨年度研究から代謝阻害とフィラメントリモデリングに明らかな連関が観察されたので、様々な代謝阻害によるフィラメント構造変化を集中的に検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1)b. 代謝阻害により、人為的にリモデリングを制御した標本のX線回折実験:アクチンの切断、又再構成を行った標本、太いフィラメント撹乱または再構築を行った標本等、人為的に収縮フィラメントのリモデリングを制御した標本の弛緩時、収縮時のX線回折像を撮影し、赤道反射強度と力学応答の関係を経時的に記録する。又、ATP濃度、イオン強度、温度等の環境を変化させて、それらが両者の関係にどのように影響を与えるかを検討する。 2)b. 代謝阻害により、人為的にリモデリングを制御した標本の生理学、生化学的実験および電子顕微鏡像解析: X線回折実験と同様の条件で、生理学・生化学実験および電子顕微鏡解析を行い、それぞれの比較検討から、平滑筋収縮フィラメント格子のリモデリングが力学応答にどの様に影響を与えるかを検討する。 3)b. 生理的標本を用いた1H-NMR実験:スキンド平滑標本を用いて、生理的環境下で弛緩時、収縮時のT2緩和時間を測定し力学応答の関係を経時的に記録する。又、ATP濃度、イオン強度、温度等の環境を変化させて、それらが両者にどのような影響を与えるかを検討する。 これらの研究成果を、2013年2月開催の米国生物物理学会並びに2013年3月開催の日本生理学会大会で発表し、レビューを受ける予定である。 尚、動物使用・飼養数を、倫理的配慮に基づき計画より減らしたこと、又、劣化の早いデータ記録メディア(イメージング・プレート)の新規購入を検討していたが、使用条件の改善により購入を行わなくて済んだことにより平成24年度研究費に残額が生じた。今後は、残額分を高額の為購入を見送ってきた分子識別マーカーの購入に、又、積極的に学会等で発表しレビューを受けるための旅費として利用する。
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Research Products
(5 results)