2011 Fiscal Year Research-status Report
骨格筋細胞内で活性化したカルパイン3のリアルタイム検出システムの開発
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23500477
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
尾嶋 孝一 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産草地研究所畜産物研究領域, 主任研究員 (60415544)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 骨格筋 / カルパイン / プロテアーゼ |
Research Abstract |
骨格筋特異的に発現するタンパク質分解酵素であるカルパイン3の酵素活性不全が骨格筋細胞の変性・壊死を引き起こす。そのため、カルパイン3の酵素活性は骨格筋細胞が正常に機能するためには必要不可欠である。しかし、カルパイン3が骨格筋細胞内のどの部位で、どのような刺激に対して、どの基質に対して酵素活性を発揮するのかは不明な点が多い。本研究では骨格筋細胞において、活性化したカルパイン3をリアルタイムで検出する系を構築することで、カルパイン3の酵素活性制御機構を解明することを目的とする。 本年度は蛍光共鳴エネルギー移動(FRETシステム)を利用した活性化カルパイン3の検出システムの構築に重点を置き研究を進めた。蛍光タンパク質であるCFPとYFPの変異体であるVenus間にin vitroでのカルパイン3の切断アミノ酸配列を挿入した発現コンストラクトを作成した。FRETを効率的に起こさせ、カルパイン3が認識配列を切断後、FRETが解消できるようにするために、カルパイン3の酵素学的な切断箇所の数、および挿入するアミノ酸残基数の異なる発現コンストラクトを計4個を作成した。これらの発現コンストラクトと野生型カルパイン3、あるいは酵素活性不全の変異型カルパイン3の発現コンストラクトと共にHEK293細胞に遺伝子導入後、カルパイン3によるFRET検出用変異体タンパク質の切断の有無をイムノブロットにより確認した。さらに、細胞内でFRETの有無、カルパイン3の切断後にFRET解消の有無なども検討した。現在はカルパイン3が酵素活性発揮後、効率的にFRETが解消されるように、CFPとVenusの間に挿入するアミノ酸残基数の至適化を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
FRETシステムで最も困難な点は確実かつ効率的にFRETを起こさせること、およびFRETを確実かつ効率的に解消することである。そのためには蛍光タンパク質間に挿入するアミノ酸配列および長さがカギを握っている。遺伝子導入した細胞内で活性化したカルパイン3がFRET検出用タンパク質を切断することをこれまでに確認した。またシグナルは弱いものの活性化カルパイン3の切断によりFRETが解消されることも確認している。
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Strategy for Future Research Activity |
カルパイン3が酵素活性発揮後、効率的にFRETが解消されるように、CFPとVenusの間に挿入するアミノ酸残基数の至適化を引き続き行う。その後、培養骨格筋細胞において活性化したカルパイン3のリアルタイムでの検出を行い、どのような刺激で細胞内のどの部位で活性化しているのかを検討する。並行して活性化したカルパイン3をモニターできる遺伝子改変マウスの作出に着手する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究課題の推進のため、次年度の研究費は、交付申請時の計画どおり、物品費、旅費、人件費・謝金、およびその他に使用する。なお、次年度使用額127,551円は、研究費を効率的に使用して発生した残額であり、次年度に請求する研究費と合わせて研究計画遂行のために使用する。
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[Presentation] Structural functions of skeletal muscle-specific calpain in Ca2+ efflux from the sarcoplasmic reticulum2011
Author(s)
Koichi Ojima, Yasuko Ono, Coen Ottenheijm, Shoji Hata, Hidenori Suzuki, Mika Oe, Ikuyo Nakajima, Susumu Muroya, Henk Granzier, and Hiroyuki Sorimachi
Organizer
2011 Annual Meeting of the American Society for Cell Biology.
Place of Presentation
Denver, CO. (USA)
Year and Date
2011.12 – 4 (123-7)