2011 Fiscal Year Research-status Report
運動想起型BCIへのユーザ適応を促すニューロフィードバック手法の開発
Project/Area Number |
23500483
|
Research Institution | Tohoku Institute of Technology |
Principal Investigator |
加納 慎一郎 東北工業大学, 工学部, 准教授 (00282103)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川島 隆太 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (90250828)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | BCI / ニューロフィードバック / 脳波 / NIRS / 大脳運動野 |
Research Abstract |
1. 運動イメージ課題中の脳活動計測手法の検討:運動をイメージすることを被験者に求め,その際の脳活動をEEGで計測し,同時に計測信号を解析してその結果をリアルタイムに被験者にフィードバックする,EEGニューロフィードバックシステムを構築した. 2. 多チャネル脳波から情報抽出を行うための局所的な空間フィルタの発見:EEGによるニューロフィードバックシステムにおけるフィードバック情報の質を向上させるために,被験者に運動イメージ課題を課した際に多チャネル計測したEEGデータに空間フィルタを適用する方法について検討を行った.計測信号にICA(独立成分分析)を適用して得られた空間フィルタを用いて抽出される独立成分と,課題である運動イメージとの関連を検討した.解析の結果,運動イメージに伴う感覚運動野由来のEEG成分を抽出する局在的な分布を有する空間フィルタがICAにより得られること,それらの独立成分に,運動イメージ課題の遂行に伴う特定周波数帯域における周期律動(μ波,β波)が認められることが分かった.この結果は,EEGニューロフィードバックシステムにおいて,少ない電極数で質の高いフィードバック情報を得るための電極配置を発見する手法として有望だと思われる.現在,本実験で得られた結果の詳細な解析を行っている.3. ニューロフィードバックの情報源としての事象関連電位の利用法:EEGニューロフィードバックシステムにおける,被験者への情報提示の付加的な手段として,事象関連電位の検出に関する検討を行った.コンピュータカーソルの移動に関する認知課題を遂行する被験者から事象関連電位により,被験者の選択的注意や,被験者の意図と実際の状況との相違を検出できることが示された.本手法は,EEGニューロフィードバックシステムにおけるフィードバック情報源として有益であると考えられる.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者が現有しているNIRS(近赤外分光法)による脳血流計測装置が故障したため,それを利用した実験の中断を余儀なくされた.そのため,平成23年度に行う予定であった研究テーマのうち,以下の3点の研究の進展が不十分であった.平成24年度中に修理を行い,これらのテーマの進展を図る予定である.・運動イメージに伴う脳活動のNIRSによる計測方法の検討・NIRS信号からのニューロフィードバック情報の抽出方法に関する検討・NIRSおよびEEGを用いたフィードバック情報提示方法の違いの検討
|
Strategy for Future Research Activity |
平成23年度からの研究テーマを継続する.現有するNIRS装置の故障に伴う研究の遅滞は,平成24年度を目途に挽回することを見込んでいる.また,本年度から以下に示すテーマ4を開始する予定である. [テーマ4]EEG・NIRS同時計測実験による,運動想起時の脳活動の解析:運動イメージ課題の遂行時にEEG・NIRSを同時計測し,両者の関係を検討する.EEGで認められる特定周波数帯域成分の応答と,NIRSで計測される脳血流の空間分布はおおむね対応することが申請者の実験によって示されているが,両者の相関関係は先行研究によっては示されていない.本課題では,時間分解能に優れるEEGと,空間分解能の高いNIRSを相補的に用いることで,NF実験におけるフィードバック情報を高い精度で検出することを目指す.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費は,実験遂行に必要な消耗品費(電子回路部品,計測用消耗品,数値計算用ソフトウェア),学会発表のための国内・外国旅費,実験補助者に対する謝金に使用する. 研究装置の故障に伴い,平成23年度に実施できなかったNIRS計測実験の必要経費を平成24年度に繰り越し,実験実施のために使用する.この点を含め,現状では研究計画の変更の必要はないと考える.
|