2012 Fiscal Year Research-status Report
脳刺激・脳活動同時測定系による可塑性誘導脳刺激の理解
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23500485
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Research Institution | 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター |
Principal Investigator |
花川 隆 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 脳病態統合イメージングセンター分子イメージング研究部, 部長 (30359830)
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Keywords | 脳機能イメージング / 非侵襲脳刺激 |
Research Abstract |
平成24年度には、以前3T MRI装置(Siemens Trio)を中核に開発したTMS-EMG-MRI同時計測システム(Hanakawa et al. 2009, Shitara et al. 2011)を、新型の3テスラMRI(Siemens Verio)においても確立した。MRI ベッド上で運動野に対して可塑性誘導脳刺激を与える前後に、連続して運動野神経回路にTMSで誘発されるfMRI信号脳、安静時運動野ネットワークの機能連関、行動指標、運動誘発電位(MEP) の計測を行うことが可能である。可塑性誘導脳刺激の前後に行う計測として以下の3課題を用いている。① 単発TMS-EMG-fMRI、② 単純反応時間課題、③ 安静状態運動野ネットワーク解析。平成24年度は、可塑性誘導課題としてシータバースト刺激(TBS)と連合性対刺激(PAS)を可塑性誘導脳刺激として用いた実験を行い、基礎技術を確立した。PASについては予備実験を含めのべ15名の健常被験者からデータを取得した。PASは、末梢神経電気刺激(PNS)と一次運動野へのTMS刺激を一定の時間差で組み合わせた連合性対刺激を5-20 秒間隔で90-250 回繰り返す。PNSとTMSの時間関係を変更することで皮質興奮性の促進または制効果をもたらす。左一次運動野に対し、安静時運動閾値115%程度の刺激を計200対与えた。PNSとTMSの時間間隔としては、PAS25(刺激時間間隔25 ms、皮質興奮性促進)とPAS10(刺激時間間隔10 ms、皮質興奮性抑制)の二条件を用いている。さらに新型装置では予備的に運動野と頸髄のfMRI同時計測を開始した。結果は現在鋭意解析中である
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
可塑性誘導脳刺激の前後でfMRIを連続計測した研究は知る限り発表されていない。技術的な壁が予想されたが、当初予定に先んじて統合的計測環境を確立し、実際に可塑性誘導脳刺激の一つである四連発刺激を適応した実験を完遂し、シータバースト刺激(TBS)と連合性対刺激(PAS)による介入技術の開発も完了した。QPSを用いた研究については現在解析を進めているところであるが、予備的な研究結果については、すでに国際学会発表を行なっており、本年度中には論文化する予定である。平成24年度中には当初計画した研究全体に着手しており、研究はほぼ順調に進んでいると考える。予算使用の面では、被験者謝金が主であったが、技術開発フェイズが重なったこともあり、まだ例数は十分ではない。実験消耗品なども研究開始前に確保していたものでほとんどまかなうことができている。最終年度にはアンプやバッテリーなどハードウェアの一部が耐用年数を迎え、買い替えが必要になる可能性がある。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度には、引き続きシータバースト刺激(TBS)と連合性対刺激(PAS)を可塑性誘導脳刺激として用いた実験を行う。TBSは、200 msごと50Hzの三連発二相性刺激を基本単位とし、皮質興奮性促進効果を持つとされる間欠的TBSでは2 秒間の基本刺激を10 秒間隔で190 秒間与える。抑制効果を持つ連続TBSでは基本刺激を40 秒間連続で与える。強度は活動時運動閾値の80%。PASは、末梢神経電気刺激(PNS)と一次運動野へのTMS刺激を一定の時間差で組み合わせた連合性対刺激を5-20 秒間隔で90-250 回繰り返す。PNSとTMSの時間関係を変更することで皮質興奮性の促進または制効果をもたらす。左一次運動野に対し、安静時運動閾値115%程度の刺激を計200対与える。PNSとTMSの時間間隔としては、PAS25(刺激時間間隔25 ms、皮質興奮性促進)とPAS10(刺激時間間隔10 ms、皮質興奮性抑制)の二条件を用いる。TBSとPASの前後に、① 単発TMS-EMG-fMRI、② 単純反応時間課題、③ 安静状態運動野ネットワーク解析による評価を行い、可塑性誘導脳刺激が短期神経可塑性を誘導するメカニズムを探求する。被験者数はそれぞれ12名程度を予定する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験消耗品(筋電図用ジェル、電極、テープ、バッテリーなど)、ソフトウェアライセンスを計上する。筋電図アンプについても耐用年数が近づいているため、買い替えが必要と考えられる。平成24年度の研究成果を秋の北米神経科学学会で発表予定であるため、成果発表のための海外旅費を計上する。その他、国内での打ち合わせや成果発表のための旅費を計上する。本年度後半には平成24年度の研究成果の論文化を予定しており、英文校正と現在投稿中の論文分と合わせて掲載のための費用を計上する。
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Research Products
(12 results)
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[Presentation] Effects of patterned TMS onto motor network activity as revealed by simultaneous TMS-fMRI2012
Author(s)
Hanakawa T, Shirota Y, Tanaka T, Hamada M, Shitara H, Ohminami S, Tanaka S, Terao Y, Honda M, Hanajima R, Ugawa Y
Organizer
Neuroscience 2012
Place of Presentation
Ernest N. Morial Convention Center.New Orleans, USA
Year and Date
20121013-20121017
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