2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23500488
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
依馬 正次 筑波大学, 医学医療系, 講師 (60359578)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 智 筑波大学, 医学医療系, 教授 (50271896)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 血管新生 / がん / ライブイメージング / 蛍光タンパク質 |
Research Abstract |
現在、高齢化の進む日本での死因の第1-3位は癌、心臓疾患、脳虚血性疾患であるが、その治療には、血管の新生と抑制のバランスの分子基盤を理解することが重要であると考えられる。しかしながら、血管新生のメカニズムは未だ不明なところが多い。その原因として、血管内皮細胞で発現している遺伝子についての個体レベルでの機能についての理解が不十分であることと、血管新生を可視化する適切なモデルマウスが少ないことが挙げられる。そこで本研究では、新規Rho関連遺伝子 (RhoJ)の個体レベルでの機能解析を行うとともに、血管新生を可視化するモデルマウスを作製し、他の研究者が使用できるリソースとすることを目的として研究を行った。 1)研究項目1:新規Rho関連遺伝子の胚発生時の血管新生における役割H23年度は新規Rho関連遺伝子(RhoJ)の遺伝子改変ES細胞を樹立、さらにノックアウトマウスを樹立した。ノックアウトマウスは予想されるメンデル比で生まれたため、RhoJは生存には必須でないことが分かった。また、網膜血管新生に遅延が見られることが判明した。2) 研究項目2:血管新生可視化マウスの樹立血管内皮細胞を可視化するモデルマウスを作製するために、H23年度は膜結合性のGFPを発現するFlk1 BACトランスジーンを構築した。VEGF-Flk1-Flt1シグナルは、新生血管の最先端に位置するTip cellの形成を始めとする血管新生の様々な局面に中心的な役割を果たす因子であることから、このようなトランスジェニックマウスを作製することで、血管研究者にとって非常に有益な実験動物となることが期待される。また、Kusabira-Orangeを発現するVE-cadherin BACトランスジーンも構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)研究項目1:新規Rho関連遺伝子の胚発生時の血管新生における役割H23年度はRhoJのTargeting vectorを作製、ES細胞に導入し、遺伝子改変ES細胞を樹立、さらにノックアウトマウスを樹立した。ノックアウトマウスは予想されるメンデル比で生まれたため、RhoJは生存には必須でないことが分かった。また、網膜血管新生に遅延が見られることが判明した。以上の状況から、おおむね順調に進展していると考えられる。2) 研究項目2:血管新生可視化マウスの樹立血管内皮細胞を可視化するモデルマウスを作製するために、H23年度は膜結合性のGFPを発現するFlk1 BACトランスジーンを構築した。VEGF-Flk1-Flt1シグナルは、新生血管の最先端に位置するTip cellの形成を始めとする血管新生の様々な局面に中心的な役割を果たす因子であることから、このようなトランスジェニックマウスを作製することで、血管研究者にとって非常に有益な実験動物となることが期待される。また、Kusabira-Orangeを発現するVE-cadherin BACトランスジーンも構築した。以上の状況から、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
1)研究項目1:新規遺伝子群の血管新生における役割 RhoJノックアウトマウスにおいて、網膜血管新生の低下が見られたため、Tip細胞数の変化、糸状仮足数の計数を行う。また、血管内皮細胞の増殖能、退縮度などをBrdU取り込み能、抗TypeIV collagen抗体での染色などを行い、RhoJノックアウトマウス胚からmRNAを調製し、マイクロアレイ解析により変動している遺伝子群をゲノムレベルで検討する。2) 研究項目2:血管新生可視化マウスの樹立 前年度に構築した膜結合性のGFPを発現するFlk1-mGFP BACトランスジーンを用いてトランスジェニックマウスの作製を行う。また、VE-cadherin- Kusabira-Orange BACトランスジェニックマウスの作製も行う。胎子や新生児Retina、成獣腫瘍血管新生時の組織(あるいは全胚)を用いて、PECAM1などどの免疫染色後に、血管内皮細胞のイメージングを行うことで、既存血管内皮細胞やTip cellのイメージングに十分蛍光の強いラインを選定する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費:単年度あたり60万円のマウス飼育費を予定している。我々が所属する筑波大学生命科学動物資源センターでは1ラック(49ケージ)あたりのマウスの飼育費が単年度あたり100万円かかる事から、ノックアウトマウスの維持管理に使用する野生型マウスの維持管理に60万円ほどかかると算出している。また、マトリゲルプラグアッセイに用いる低濃度成長因子マトリゲルに15万円、VEGFやbFGFなどの血管新生促進因子に15万円、1次抗体10万円、2次抗体15万円を予定している。また、成果発表のための、論文出版費30万円、生化学会・分子生物学会、実験動物学会出席のために10万円を予定している。
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Research Products
(3 results)