2011 Fiscal Year Research-status Report
感染性脳症の新規治療法として骨髄間葉系細胞を用いた再生医療の挑戦的研究
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23500497
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
藤井 潤 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60271441)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 腸管出血性大腸菌 / 脳症 / MSCs / Muse細胞 / 再生医療 |
Research Abstract |
東北大学大学院医学系研究科細胞組織学分野人体構造学分野の出澤真理教授と仙台にて今後の研究について打ち合わせを行い、以下の2点について決めた。1)腸管出血性大腸菌を経口感染させる、またはベロ毒素を腹腔内投与するマウスモデルで、病理組織学的に脳病変を確認する。2)NOD-SCIDマウスに腸管出血性大腸菌を経口感染させ、またはベロ毒素を腹腔内投与した後に、ヒト型間葉系幹細胞 (MSCs)または、MSCsの中でも多能性を有するMuse (Multiliniage-differentiating stress enduring) 細胞を静注することでマウスに移植し、その効果を生存期間や生存率の観察や細胞組織学的に検証する。腸管出血性大腸菌 (EHEC) O157:H-をマウスに経口感染させ、同時にマイトマイシンCを腹腔内投与することによって、急性脳症発症マウスモデルを私達はすでに開発している。このEHEC感染マウスモデルで組織学的脳病変を特定した。まず免疫染色法を用いて、一次抗体に活性型抗caspase-3抗体で検索した結果、脊髄において前角の運動ニューロンが全長に渡ってアポトーシスが起きていることを見出した。よってO157感染マウスはベロ毒素により横隔膜を動かす横隔神経が傷害され呼吸不能となって死亡し、下肢麻痺症状も脊髄前角の運動ニューロンの傷害によると結論づけた。このマウスモデルを使って、ベロ毒素レセプター (Gb3) 合成酵素の発現を in situ hybridization で調べた結果、脊髄神経細胞や血管内皮細胞にGb3合成酵素mRNAが発現していることを確認した。NOD-SCIDマウスに、ベロ毒素2型を腹腔内投与して経過観察した結果、ベロ毒素投与後3日以内にすべて死亡したことからMSCsやMuse細胞の移植時期を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ヒト型間葉系幹細胞(MSCs)または、Muse細胞を実験動物に移植してその効果を確かめる場合に、まず実験動物の組織学的な病態を詳細に把握する必要がある。初年度は、その病態の把握をほぼ終え、現在論文を執筆している。また本格的に尾静脈から、MSCsやMuse細胞を移植するための実験動物研究計画書の作成、東北大学からの共同研究者の受け入れ体制作りを終え、すぐにでも九州大学動物実験施設P2実験室でこれら細胞を移植できる環境を整えた。またNOD-SCIDマウスに腸管出血性大腸菌を感染させると、wild typeのマウスと全く異なる免疫反応を起こしたため、思わぬ発見も得ることに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初、ウサギやラットを使った実験計画を立てていたが、すぐに臨床応用可能なヒト型MSCsやヒト型Muse細胞を、拒絶反応のないNOD-SCIDマウスに移植する実験を推進することとした。NOD-SCIDマウスに腸管出血性大腸菌を経口感染させる、またはベロ毒素を腹腔内投与した後に、ヒト型間葉系幹細MSCsまたはMuse細胞をマウス尾静脈から移植し、その効果を生存期間や生存率、組織学的に調べる。NOD-SCIDマウスに腸管出血性大腸菌を感染させ、その病態を免疫学的に解析する。ヒト型MSCsを培養し、テロな細胞集団からCD31細胞をセルソーターなどで分離して、培養でさらに増やしてNOD-SCIDマウスに移植する。Muse細胞の多様性をNOD-SCIDマウスで確かめる。NOD-SCIDマウスに腸管出血性大腸菌を感染させる、ベロ毒素腹腔内投与する、ベロ毒素とlipopolysaccharide (LPS) を同時に腹腔内投与するなどの動物モデルにMuse細胞が、どのように多様性を発揮して、細胞を修復するか病理組織学的に検証する。またまたNOD-SCIDマウスに腸管出血性大腸菌を感染させると、wild typeのマウス (ICRマウス) と全く異なる免疫反応を起こしたため、免疫学的にそのメカニズムを明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
マウスを用いた実験なので、マウスの購入費および飼育管理費が主な研究費の使途となる予定である。また免疫組織学検査の消耗品費や検査委託費にも研究費として計上する。東北大学と共同研究しているため、出張旅費も計上する予定である。平成24年度には腸管出血性大腸菌感染症国際シンポジウムがオランダで開催されるので、最新の情報を得るため大学院生と参加する予定である。
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[Presentation] 食中毒2011
Author(s)
藤井 潤
Organizer
福岡市急患診療センター看護師研修会(招待講演)
Place of Presentation
福岡
Year and Date
2011. 7. 9
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