2012 Fiscal Year Research-status Report
感染性脳症の新規治療法として骨髄間葉系細胞を用いた再生医療の挑戦的研究
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23500497
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
藤井 潤 鳥取大学, 医学部, 教授 (60271441)
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Keywords | Stx2 / ベロ毒素 / Muse / EHEC / MSCs |
Research Abstract |
NOD-SCIDマウスにおいて、精製ベロ毒素2型(Stx2)および腸管出血性大腸菌大腸菌O157 ; E32511株(E32511)の感受性を、ICRマウスと比較した。Stx2 300ng/kg を腹腔内投与(i.p.)したStx2モデルとE32511を10の11乗CFU経口感染 (p.o.) させると同時にマイトマイシンCを2.5mg/kg, i.p. したE32511モデルを使用した。 NOD-SCIDマウスは、免疫不全マウスにも関わらず、Stx2, E32511に対する感受性は、ICRマウスと変わらなく投与後3日以内に全て死亡した。ヒト型間葉系幹細胞から得られるMuse細胞とnon-Muse細胞(陰性コントロール)をあらかじめ準備し、NOD-SCIDマウスにStx2をi.p.、またはE32511をp.o.した後6時間後に、これら細胞を1.6 x10の4乗個、尾静脈より静注 (i.v.) して移植した。その後24時間体制で観察を続け、NOD-SCIDマウスが、四肢麻痺をきたした時点で死亡直前と判断し、4%パラホルムアルデヒドで、灌流固定し、脳と腎臓を取り出した。パラフィン包埋ブロックを作成して免疫染色を行い詳細に調べた。その結果、non-Muse細胞を移植したマウスに比べ、Muse細胞を移植したマウスの脳、腎臓のアポトーシスは有意に低下した。アポトーシスは、抗活性型caspase-3抗体を一次抗体として用いた。さらにMuse細胞を移植したマウスの脳、腎臓には、Muse細胞が定着していることが免疫染色で明らかとなった。non-Muse細胞は、まったく定着していなかった。これらの結果から、Muse細胞はベロ毒素によってダメージを受けた細胞を修復しているか、何らかのメカニズムでベロ毒素によるアポトーシスを抑制していることが考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
E32511マウスモデルにおいては、ベロ毒素の標的細胞は脊髄全角運動神経細胞であったことを前回報告した。さらに研究を続けた結果、このモデルではアストロサイトの活性化を認め、それに伴って脳血管周囲のaquaporin 4が消失していたことが判明し、血液脳関門の破壊のメカニズムがより詳細に解明できた。またミクログリアの活性は認めなかった。この結果は、本年PLoS Oneにアクセプトされた(Amran MY, Fujii J, et al. Investigation of encephalopathy caused by Shiga toxin 2c-producing Escherichia coli infection in mice. PLoS One. 8(3): e58959. 2013)。3日という短期間にMuse細胞がStx2 モデルやE32511モデルで、生着し、神経などのアポトーシスを抑制していたことは当初の計画以上に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度はMuse細胞がStx2 モデルやE32511モデルで、脳や腎臓に生着し、アポトーシスを抑制していたことを論文として報告する。またE32511マウスモデルでアジスロマイシンが有効であることをPLoS Oneで報告したが、マウスにE32511 をp.o.して2時間以内に、アジスロマイシンをp.o.しないと十分な効果が期待できない。よってアジスロマシンを6時間後に経口投与し同時にMuse細胞の併用によって、生存率が100%となる完璧な治療法の開発を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は、当初の計画以上に研究が進行したため、平成25年度繰り越し額378,463円が発生した。九州大学から鳥取大学に転任したため、この額を鳥取大学において、研究のための立ち上げに使用する予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Presentation] Risk factors for hemolytic uremic syndrome caused by Shiga toxin-producing Escherichia coli infection in Japan2012
Author(s)
Fujii J, Mizoue T, Nakada Y, Ugajin S, Naya Y, Nakamura T, Saitoh K, Maruyama Y, TadaY, Okabe N and Yoshida S
Organizer
8th International Symposium on Shiga toxin (Verocytotoxin)- producing Escherichia coli infection
Place of Presentation
Amsterdam, The Netherlands
Year and Date
2012-05-08
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