2013 Fiscal Year Research-status Report
ポリウレタン-絹複合材料を用いた新規小口径人工血管の開発
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23500512
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
中澤 靖元 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20456255)
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Keywords | 絹フィブロイン / ポリウレタン / 組織工学 |
Research Abstract |
現在市販されている人工血管素材を用いた小口径人工血管は、血栓が生じやすく、使用方法が限定されているため、小口径人工血管の開発は急務かつ同分野において重要な課題となっている。絹フィブロインは高い強度を有することから期待されているが、人工血管として必要な伸縮性や弾性などに乏しい。そこで本研究課題では、ポリウレタンを絹フィブロインと複合化させた新規素材の開発を目的とした。 本研究課題においてこれまでに、絹フィブロインとポリウレタンの混合状態の相溶性とダイナミクスについて、固体NMR法を用いた詳細な解析を行い、 ポリウレタンと絹フィブロインが部分的な微分散状態にあることを報告した。今年度は、基礎的な知見の強化および、得られた結果の発展的応用を行った。特に昨年度の課題とされた、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)や、フィブロネクチン由来のREDVペプチド等の修飾に関しては、絹フィブロイン基盤上に各種ペプチドを固定化する手法の確立に成功した。さらに、絹フィブロイン基板上での血管内非細胞を培養した結果、絹フィブロインのみの場合は、細胞形態が球状となり、基盤に接着しないものが多く確認されたが、各種ペプチドを固定化した絹フィブロイン基盤上では細胞伸展が確認された。 特にエラスチン由来のREDVペプチドを絹フィブロイン基盤に固定化したフィルムに関しては、血管内皮細胞を優位に接着・増殖させる一方で、血管の内膜肥厚による狭窄を引き起こす平滑筋細胞の増殖を抑制する効果があることを見いだし、今後、ポリウレタンー絹複合か材料への導入により、より良いデバイスの提案ができると考えている。 得られた成果については、関連学会による発表を行っており、現在論文投稿準備中である。また、ビーグル犬を用いた移植実験についても進行中であり、次年度においてすべての成果を論文発表し、本研究課題を終了する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は平成25年度が最終年度である。平成25年度において、ポリウレタン複合体デバイスのNMRによる分析、および絹の医療材料への応用に関する検討を行い、繊維学会、高分子学会において発表を行う予定であったが、得られた成果の論文発表に遅れが生じている。このため、平成25年度の未使用額を26年度へ繰り越しの措置を行って頂き、NMRによる解析およびそれに伴うサンプル作成、および関連学会への発表をおこなうこととした。 しかしながら実験に関するデータはほぼ得られているので、研究自体の進捗は想定通り進行していると考え、次年度の成果発表を行い、本研究課題を終了する。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は平成25年度が最終年度であるが、得られた研究成果に関する学会発表および論文発表を平成26年度に継続して行う予定である。そのため、一部予算の繰り越しをさせていただいた。 今後、動物実験での実績を得ると同時に、絹フィブロインへの化学的修飾を導入することで、将来的に最適な組織再生型人工血管へ適用可能な絹基盤素材を提案する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度において、ポリウレタン複合体デバイスのNMRによる分析、および絹の医療材料への応用に関する検討を行い、繊維学会、高分子学会において発表を行う予定であったが、試料作製に若干の遅れが生じた。 これに伴い、論文発表についても遅れが生じているため、ため次年度にNMRによる解析を行うことと共に、関連学会および関連論文への発表を行う。 ポリウレタン複合体でバイスのNMRによる分析をより詳細に行うとともに、得られた成果を関連学会において発表する予定である。NMR解析については、一部外部研究者との打ち合わせを行う。 未使用額はそのための学会参加費、旅費(学会旅費、打ち合わせ旅費)および論文校閲費、論文投稿費に充てる。
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Research Products
(15 results)
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[Presentation] 絹を基盤とした小口径人工血管の作製と動物実験評価2013
Author(s)
中澤靖元, デリヤアイテミズ, 藤田陽子, 高木義秀, 芳賀真, 山本諭, 岡本宏之, 小材祐介, 深山俊治, 田中綾, 朝倉哲郎
Organizer
第62回高分子討論会
Place of Presentation
金沢大学(石川県金沢市)
Year and Date
20130911-20130913
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