2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23500519
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
芥川 正武 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 講師 (90294727)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 章 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (90304047)
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Keywords | 近紫外線 / 殺菌 / 遺伝子発現解析 / 腸炎ビブリオ |
Research Abstract |
本研究の目的は近紫外線殺菌の機序についての基礎的な知見を得ることである.特に近紫外線領域の様々な波長に対して細胞内での起こる反応の差異を明らかにする為に,初年度の平成23年度は1.対象菌(腸炎ビブリオ)に目的の波長・放射照度の近紫外光を照射することができる装置の製作と,2.照射方法及び遺伝子発現解析の為の実験方法・条件の検討を行った. 2年目の平成24年度は310nm,365nm,385nmの3種類の波長の紫外線を対象菌に照射し,遺伝子チップを用いて遺伝子発現量を測定し,解析を試みた.照射する紫外線はキセノンランプ光源からの光を目的の波長を通過するフィルタに通したもので,初年度に製作した照射用器具により,3.5cmシャーレと紫外線照射部を固定し,放射照度一定の条件を保つようにしている.同一放射照度では波長が短い方が殺菌効果が高く,短波長照射の場合十分なRNA量が得られない為,紫外線照射後の菌のlog生存率を-0.5で揃え,さらに照射後に菌を培養し菌数を増やした後に解析を行う方法とした.各波長で3から4回程度の実験を行い,遺伝子発現量を比較した.実験のうち解析に使用可能であった2回について,4826個の遺伝子の発現量を各波長と紫外線照射を行わない対象群を含めて多群解析を行った.その結果有意な変化をしたと見られる遺伝子が395から745個抽出された.クラスタリングを行いPathway解析を行った結果,クエン酸回路,ヒスチジン代謝等に関わるPathwayで,波長依存性のある発現量の変化が見られた. ただし現時点での実験結果では結果の再現性があるとはいえず,実験方法,解析方法についての改善及び,発現した遺伝子の解釈についてより詳細に検討する必要がある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度に実験の手法および条件の設定は行うことができている.また実験対象の腸炎ビブリオに3種類の波長の紫外線を照射し,マイクロアレイで遺伝子発現解析を行うことも達成している.しかし解析手法の選定および,解析結果の解釈の点で当初の予定であった,殺菌機序と波長の関係を明らかにするまでには至っていない.原因として,マイクロアレイで得られた遺伝子発現量の実験ごとのばらつきが小さくないうえ,統計解析を行うにはサンプル数がまだ少ないことが挙げられる.発現量のばらつきは実験条件のばらつき,遺伝子抽出に関する手技のばらつきによるものとも考えられるが,明確な原因はまだ明らかになっておらず,現在検討中である.
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Strategy for Future Research Activity |
近紫外線波長照射実験及び,マイクロアレイを用いた遺伝子発現量の測定部分についてはほぼ手技が固まって来て入るものの,再現性の向上の為に現在すでに得られた同様の条件で実験回数を増やす必要がある.また原稿では310nm,365nm,385nmの3波長について実験を行っているが,他の波長についても同様の実験を行い,波長間の際を確認するとともに,近紫外線波長の作用機序について検討することが必要である. また基本的には発現量の解析に従来からある統計的手法を用いているが,ベクトル量子化等の他の統計的手法についても検討する必要がある.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
遺伝子発現解析に関わるきっと及び実験の消耗品の購入に充てる.また成果報告の為の旅費および投稿費用にも使用する. 実験及び,解析手法の検討および解析について効率化を図る為に大学院生に作業を依頼する為,謝金を計上する.
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