2011 Fiscal Year Research-status Report
生体内硝酸性窒素由来NOの産生と血管系における生理作用機序の解明
Project/Area Number |
23500534
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Research Institution | Kawasaki University of Medical Welfare |
Principal Investigator |
望月 精一 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (60259596)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平松 修 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 准教授 (50208849)
小野 淳一 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 講師 (50435351)
小川 武人 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 講師 (10454050)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 硝酸 / 亜硝酸 / 一酸化窒素(NO) / 還元反応 |
Research Abstract |
生体内での一酸化窒素(NO)産生メカニズムにいくつかあり、生成したNOは、血管拡張作用など様々な生理的作用を発揮することが知られている。これまでは、生体組織内に存在するNO合成酵素(NOS)によるL-arginineからのNO産生が注目されていたが、近年、NO酸化物の亜硝酸イオン(NO2-)の還元によるNO産生が注目され、本研究では還元系に注目し、まず基礎的検討を実施した。 本年度は、NOの原料としてのNO2-には、亜硝酸塩あるいは唾液(唾液中硝酸イオン(NO3-)が口腔内バクテリアによってNO2-に還元)を用い、NO2-からNOへの還元反応に関わる還元物質としてヨウ化カリウム(KI)あるいは様々の還元物質(抗酸化物質)を含んでいると言われている野菜ジュースを用いた。そして、pHや各物質濃度を変化させて、生成するNO量をNOセンサーを用いて直接計測した。 唾液からは10~700 uMのNO2-が検出された。野菜ジュースのBAP値(biological antioxidant potential;抗酸化力)は約25 mMであった。唾液もしくは野菜ジュースの一方のみをpH2の緩衝溶液に添加すると微量のNOが生成し、両者を混合した場合、生成するNO濃度は大きく上昇した。さらに野菜ジュースと唾液を混合した場合、NO生成濃度は唾液中のNO2-濃度に依存していた。 以上、酸性条件下で唾液中NO2-と食因性の還元物質が混合されて、生成されるNO濃度は、唾液中NO2-濃度と還元物質濃度に依存していた。また、異なる種類の還元物質による還元反応を介したNO生成能力の比較の指標として、BAP値が有用であると示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
23年度は基礎的検討として、溶液pH、還元物質の種類と濃度、原料物質の濃度などの条件を変化させて、生成NO濃度を計測した。生体サンプルとして唾液由来の反応系を取り上げた。酸化ストレスマーカー(d-ROM)と還元力(BAP)についても検討した。これらの条件変化の影響を検討したが、当初の予想よりも条件変化の幅が広く、実験が多岐に渡り手間取ったため少し遅れが出ている。
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Strategy for Future Research Activity |
生体由来NO産生メカニズムについて、更に詳細な検討を進める。具体的には生体内反応に影響すると推測される飲食物中NO2-、あるいは還元物質などに注目し、濃度、pH、還元力、アミラーゼ活性などへの依存性を検討する。さらにCCD生体顕微鏡によるヒト舌下微小血管の観察を介して、生成NOによる血管系への影響の評価も実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昨年度に引き続き生体サンプル(唾液、血液など)由来のNO産生メカニズムの検討を進めるため、主に分析用試薬、分析機器の消耗品の購入に研究費を使用する。
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