2012 Fiscal Year Research-status Report
特異的金属識別機能を備えたペプチドアレイの開発と医学応用
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23500546
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
平岡 和佳子 明治大学, 理工学部, 教授 (00212168)
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Keywords | 機能性ペプチド / CD / プリオン / 銅イオン / 金属タンパク |
Research Abstract |
プリオンペプチドの立体構造変化に特に重要なはたらきを示すサイト及びアミノ酸残基を明らかにするために, マウスプリオンタンパク質 のアミノ酸配列に点変異を導入し, moPrP ミュータントを作製した. Wild-Type (WT) の他, 5 種類の moPrP ミュータントを用意した. タンパク質の二次構造に対して特徴的なスペクトルを示す円偏光二色性 (Circular Dichroism: CD) はタンパク質の構造変化の観測に有用であることから, moPrP ミュータントの pH 依存構造変化を観察することを試みた. WT と D177N ミュータントの結果は、WT では中性 pH から酸性 pH への変化によって, 210 nm 付近の負のピークが短波長側へシフトしながら増加した. また, D177N ミュータントでは, 中性 pH と酸性 pH において不規則構造を示す 200 nm に負のピークが現れた. さらにmoPrP ミュータントにおける CD スペクトル測定から, 177 番目のアミノ酸 アスパラギン酸 における アスパラギン への変異と, 中性 pH から酸性 pH への変化が PrP の構造変化に大きな影響を与えていることが示された. 中性 pH から酸性 pH への変化によって, 解離定数 pKa = 6.04 をもつ His176 のイミダゾール基の窒素がプロトン化され, その結果, R163 との間あった塩橋が崩壊したと考える. 神経毒性領域におけるペプチドを 4 種類用意し, ペプチド 1 モル当量に対し 0-2 モル当量の銅溶液を加え, 近紫外領域において CD スペクトルを観測し, 銅イオンとの結合によってアミド窒素とイミダゾール窒素が 銅イオンとペプチドとの結合に関与して構造が変化することが明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
理由としては、液体ヘリウムの使用が制限され、年度の途中で全く供給が絶たれたことが大きい。ペプチドサンプルを用いて、ESR測定を実施するためには、液体ヘリウムが不可欠であるため、今年度はサンプル作成のみを実施し、測定は今後ヘリウムの供給が回復してから実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、機能性ペプチドとしての金属との反応性について網羅的な研究を行い、研究の集大成とする予定である。具体的には、これまでに作成したペプチドサンプルを用いて、液体ヘリウムの供給が今年度内に回復が見込めることから、CW-ESR低温実験、パルスESR測定を実施し、金属とペプチドとの結合様式を確定していく。さらにこれをもとにして、ペプチド金属間の相互作用の定量化を行う。あわせて、神経変性性疾患モデルとして、ペプチド凝集システムの提示をおこない、薬物効果アッセイシステムのモデル化を試みる予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
最終年度である、次年度は上記の研究遂行のために研究経費として主として液体ヘリウムなどの消耗品を購入する予定である。また、研究の成果報告として、海外および国内の学会発表をそれぞれ一度ずつ実施する予定である。
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Research Products
(4 results)