2011 Fiscal Year Research-status Report
アレーアンテナ空間信号処理を用いたヒト循環器の運動の非接触計測
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23500549
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
佐藤 宏明 岩手大学, 工学部, 助教 (90359498)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本間 尚樹 岩手大学, 工学部, 准教授 (70500718)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | アレーアンテナ / 空間信号処理 / マイクロ波 / MIMO / 心臓拍動計測 / 循環器系モニタ / 循環器系疾患 / 非侵襲診断 |
Research Abstract |
アレーアンテナと空間信号処理によってマイクロ波(電磁マイクロ波)を用いてヒト循環器の運動の非接触,非侵襲な計測を行い,ヒト循環器系疾患の診断に役立つ,生体組織の運動や弾性率の変化をマイクロ波によって計測し診断情報の抽出を目指して,新たに"マイクロ波アレーアンテナ空間信号処理の実験装置"の開発を行った. 実験装置を設計するための基礎データを得るために,協力研究施設(新潟大学)に赴いてフィールド実験を行った.実験により得られたデータを信号処理することでヒトの心臓拍動および呼吸に由来するそれぞれの生体信号の成分の検出が確認できた.この生体信号検出に関する知見について2件の研究報告を行っている. また一方で,フィールド実験の知見から実験装置の構成について研究計画時に考えていた内容からの設計変更が必要なことが判明した.そのため,購入装置を変更し,実験装置の設計・構成に変更を加えて開発を行った.装置開発の進捗は設計変更により当初計画よりも遅れることになったが平成23年度内に完了することができた.しかしながら当初計画の初年度の課題にあった,ホストコンピュータ上で空間信号処理の演算・検出アルゴリズムの開発とその精度の評価については未完了で次年度への課題となる. 実験装置の開発と平行して,アレーアンテナのMIMOチャネルにおける伝達関数の推定とその時変動について研究調査を行い4件の研究報告を行っている.この研究調査結果は検出アルゴリズムの精度の評価のための重要な知見となる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
空間信号処理の演算・検出アルゴリズムの開発とその精度の評価については未完了となったが,実験装置については完成させることができた.実験装置の設計に変更を加えたことにより,より精度の高い信号検出が期待できるようになった.これは,当初計画の遅れをカバーする重要な成果である. また,検出アルゴリズムの精度の評価のための重要な知見となるアレーアンテナとMIMOシステムに関する研究調査結果を得ており,今後の研究推進のための大きな前進となっている.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降では,平成23年度の未完了であった課題含めて以下の課題について研究を進める.1.ホストコンピュータ上で空間信号処理の演算・検出アルゴリズムの開発その精度の評価,2.各種の波形解析アルゴリズムを適用し,検出精度向上法について検討,3.計測のアルゴリズムの確立と検出精度の明確化を目指す,4.アレーアンテナ空間信号処理のシミュレーションによる検証に取り組む,5.ヒト循環器の運動の計測信号から,循環器診断のための情報の抽出とその検証に取り組む 引き続き,研究代表者佐藤が実験装置の製作および信号の計測と信号処理を担当し,分担研究者本間が送受信アンテナおよび周辺電気回路の製作を担当する研究体制で研究を推進する.また,実験補助として大学院生今日向・南湖政輝・吉田直弘の協力を得る.さらに,必要に応じて所属組織内の技術職員千葉茂樹・千葉寿の協力を得る.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験装置の設計・構成に変更を加えて開発を行ったため,装置開発の進捗は設計変更により当初計画よりも遅れることになった.そのため,空間信号処理の演算・検出アルゴリズムの開発については未完了となっており,これは次年度への課題として継続する.このアルゴリズム開発に用いる予定で購入計画していた信号解析ソフトウェアについても,開発計画の見直しによって平成23年度での購入執行見送りとなった. 平成24年度に空間信号処理の演算・検出アルゴリズムの開発を継続し完了させる計画となっており,先の信号解析ソフトウェアの購入費用として未執行分の¥約30万を見込む. また,平成24年度に請求した予算¥30万において,自作するRFアンテナの材料部品代,電気回路の部品・配線代,消耗品費用として¥15万と学会等研究報告の旅費に¥15万をそれぞれに見込む.
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