2011 Fiscal Year Research-status Report
拡散テンソルMR画像における脳の機能・形態情報抽出および可視化手法の開発
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23500561
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
熊澤 誠志 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (50363354)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉浦 敬 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40322747)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 拡散テンソル / MRI / 脳機能 / 白質 / 灰白質 |
Research Abstract |
平成23年度は,1)3T-MRIでの拡散テンソルMRデータ撮像法の最適化およびMR画像収集と,2)拡散テンソルMR画像における皮質領域抽出手法の開発を目的として研究を進めてきた. 拡散テンソルMR画像は,Echo planar imaging (EPI)という撮像方法を用いて画像収集が行われるが,3T-MRIでは1.5T-MRIに比べて,撮像対象部位の幾何学的な歪みが問題となる.拡散テンソルMR画像の撮像パラメータの最適化によって,幾何学的歪みを低減することが期待されるが,撮像パラメータが相互依存するため,この歪みをコントロールする支配的な撮像パラメータを決定するのが困難である.このためEPIシミュレータを作成して,拡散テンソルMR画像の撮像パラメータの検討を行った. また,拡散テンソルMR画像における皮質領域抽出手法の開発に関しては,これまで研究代表者が考案した手法(異なる組織が同一ボクセルに含まれる際の部分体積効果をモデル化した手法)を改良し,従来の部分体積効果モデルに加えてマルチテンソルモデルを適用することで,灰白質領域から白質線維束交差ボクセルを取り除き,皮質領域を抽出する手法を開発した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は,拡散テンソルMR画像から脳の形態情報と機能情報を抽出し,それらを統合的に可視化する手法を開発することである.具体的には,拡散テンソルMR画像における高精度な皮質領域抽出手法の開発,皮質間を結ぶ白質線維束の抽出手法の開発,皮質の機能情報の抽出手法の開発である. 平成23年度においては,マルチテンソルモデルを適用した手法を開発することによって,これまで研究代表者が開発した手法より,精度が向上した.しかしながら,撮像対象部位において幾何学的歪み歪みに起因した信号強度変化が生じ,これにより幾何学的歪みが生じた皮質領域の抽出が困難であることが新たな問題としてわかった.この問題点に対しこれまで報告されている歪み補正法を適用し,拡散テンソルMR画像における幾何学的歪みの補正効果の検討を行った.その結果,海馬や前頭葉などの皮質領域を精度よく抽出するには,新たな歪み補正を行う必要があることが分かった.
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Strategy for Future Research Activity |
拡散テンソルMR画像において,さらに精度よく,特に神経疾患において重要な海馬や前頭葉などの皮質領域を精度よく抽出するために,拡散テンソルMR画像における幾何学的歪みに対する新たな補正法の開発を行う. また交付申請書の年度計画に従って,これまで研究代表者が考案した手法を改良することで,皮質間を結ぶ白質線維束推定手法の開発を行う.また3T-MRIでは,磁場の不均一性が画質に影響する.このため磁場不均一性に起因した信号強度を補正する手法の開発も合わせて行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究では,アルゴリズム開発および画像処理ソフトウェア開発が主になる.このためソフトウェア開発や実験,評価のためのコンピュータ(特に計算速度の速いもの),および開発のためのソフトウェアなどに関する経費が必要となる.また画像データ保存のための記憶装置や記憶媒体が必要となる. また研究代表者および分担者は,調査や研究成果発表のため,関連する学会への国内・外国旅費が必要である.
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Research Products
(9 results)