2012 Fiscal Year Research-status Report
拡散テンソルMR画像における脳の機能・形態情報抽出および可視化手法の開発
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23500561
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
熊澤 誠志 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (50363354)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉浦 敬 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40322747)
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Keywords | 拡散テンソル / MRI / 灰白質 / 白質線維束 |
Research Abstract |
平成24年度は、皮質間を結ぶ白質線維束の推定手法の開発に関して研究を進めてきた。これまでに研究代表者が考案した手法は、あらかじめ領域抽出された白質領域における線維束の方向を推定するものである。皮質間を結ぶ白質線維束を推定するには、皮質下白質における白質線維束の方向情報の推定が必要となる。しかしながら皮質下白質のボクセルでは、皮質と白質の部分体積効果により、拡散テンソルの情報が平均化される。このため従来手法での領域抽出は困難である。またこのような領域のボクセルの信号強度は、複数の拡散情報が混合されたものとなるため、このような信号強度から求めた拡散テンソルは、その領域の神経線維束の走行方向を反映しない場合がある。このため本研究では、部分体積効果を考慮したマルチテンソルモデルを適用し、皮質下白質での線維束方向を推定する手法を開発した。提案手法では、目的関数を最小とするマルチテンソルモデルのパラメータを推定することで、この領域のテンソル情報の推定を行った。 また拡散テンソルMRI画像では、磁場不均一に起因した幾何学的歪みが生じ、副鼻腔などに近接する皮質領域では、この歪みの影響を大きく受ける。このため新たな磁場不均一補正法の開発を行った。本研究で開発した手法は、混合ガウスモデルを用いて高磁場でのMR画像における信号強度不均一を補正するものである。 またこのような磁場不均一に起因した幾何学的な歪みが、拡散テンソル画像における拡散情報に与える影響について調べた。この結果、歪みの有無によって拡散テンソルから計算される見かけの拡散係数が変動することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、拡散テンソルMR画像から脳の形態情報と機能情報を抽出し、それらを統合的に可視化する手法を開発することである。具体的には、拡散テンソルMR画像における高精度な皮質領域抽出手法の開発、皮質間を結ぶ白質線維束の抽出手法の開発、皮質の機能情報の抽出手法の開発である。 平成24年度においては、部分体積効果を考慮したマルチテンソルモデルを用いた白質線維束推定手法を開発した。また拡散テンソルMR画像の撮像において問題となっていた磁場不均一と、それに起因した幾何学的歪みが拡散テンソル情報に与える影響について取り組んだ。これらの結果から、歪んだ拡散テンソルMR画像から脳の形態情報を抽出するにあたり、新たな磁場不均一分布推定・歪み補正法が必要であることがわかった。この問題点に対しこれまで報告されている手法とは異なる、新たな画像ベースでの磁場不均一分布を推定する手法を現在開発している。これにより、拡散テンソルMR画像から脳の形態情報と機能情報を抽出の精度向上が期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
拡散テンソルMR画像において、さらに精度よく、特に神経疾患において重要な海馬や前頭葉などの皮質領域を精度よく抽出するために、新たな画像ベースでの磁場不均一分布の推定および幾何学的歪みに対する新たな補正法の開発を行う。これにより拡散テンソルMR画像から脳の形態情報の抽出精度向上が期待できる。また磁場不均一に起因した歪みが与える拡散情報への影響について、詳細な調査を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究では、アルゴリズム開発および画像処理ソフトウェア開発が主になる。このためソフトウェア開発や実験、評価のためのコンピュータ(特に計算速度の速いもの)、および開発のためのソフトウェアなどに関する経費が必要となる。また画像データ保存のための記憶装置や記憶媒体が必要となる。また研究代表者および分担者は、調査や研究成果発表のため、関連する学会への国内・外国旅費、出版費用が必要である。
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Research Products
(11 results)