2012 Fiscal Year Research-status Report
人工関節置換術および骨切り術の術前計画支援に関する基礎的研究
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23500562
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Research Institution | Iwate Prefectural University |
Principal Investigator |
土井 章男 岩手県立大学, ソフトウェア情報学部, 教授 (60271839)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬渡 太郎 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (60335974)
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Keywords | 術前計画支援システム / 3次元画像処理 / 骨切り術 / ユーザインターフェース / インプラント |
Research Abstract |
患者に合致したインプラント設計(テーラーメイドインプラント)を実現するために、ソフトウェア技術、加工技術、製造技術を統合させたシステム体系を提案した。商用の術前計画支援システムでは、「既存のインプラントを患者にいかに無理なく配置するか」に焦点が置かれている。しかしながら、最新の加工技術、鋳造技術、製造技術である3Dプリンタ装置や精密鋳造装置、超高圧焼結工具、電子ビーム加熱装置(EB焼結装置)などを用いれば、患者の体格や骨形状に合ったインプラントの設計と製造が短期間で作成可能である。そのため、我々は、単に既存のインプラントを最適配置するだけではなく、患者の体格や骨形状に合致したインプラントをデザイン・加工・製造までをサポートする術前計画支援ソフトウェアを研究開発している。 本方式の長所は、従来から行われているCR画像による術前計画と比較して、正確なインプラント配置や骨切り箇所の決定、コンピュータ上での術前シミュレーション、テーラーメイドインプラント設計が可能であり、同時に、個々の患者に合ったテーラーメイドインプラントを提供することで、患者のQOL(Quality Of Life)を高めることが可能である。 THA(Total Hip Arthroplasty)やTKA(Total Knee Arthroplasty)に必要な3次元情報は、CR/CT画像とMR画像により、取得可能である。これらの3次元画像群を、正確に位置合わせ(レジストレーション)して、1) 仮想立位CT画像の作成機能、2) 骨部と3Dインプラントの応力解析機能、3) シミュレーション結果の可視化機能、4) 3Dインプラント配置結果や応力分布のレポート機能、5) 骨切り面の表示・計測機能を実現した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CT画像は臥位で取得するため、有限要素法(FEM)による応力解析を行って、大腿骨や脛骨の位置を移動させ、立位の状態を表現した。荷重状態で取得したCR画像と比較することで、シミュレーションの精度を高めている。正確な仮想立位CT画像が作成出来れば、CR画像を撮像する必要がないため、業務の効率化と精度向上が図れる。また、仮想立位CT画像を用いて、正確な3Dインプラントの配置が従来の2次元ベースの術前計画システムと比較して可能となった。応力解析には、信頼性の高い商用ソフトウェアであるダッソー社のCATIAを用いている。解析用に使用するメッシュデータは、3次元画像からセグメンテーションを行った材質ごとに等値面データに変換し、データ整形とデータ削減後、自動的に解析用4面体メッシュを生成している。
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Strategy for Future Research Activity |
これらの3次元画像群を、正確に位置合わせ(レジストレーション)して、1) 仮想立位CT画像の作成機能、2) 骨部と3Dインプラントの応力解析機能、3) シミュレーション結果の可視化機能、4) 3Dインプラント配置結果や応力分布のレポート機能、5) 骨切り面の表示・計測機能を実現する。また、臨床の場において、試験的な運用を行い、膝関節のインプラント置換手術におけるシミュレーション機能の有効性を検証する。テスト用DICOM画像は、大学発ベンチャー創出推進(H17-H19)で収集・使用したCR画像、CT画像、MRI画像が利用可能である。また、新しいCR、CT画像も九州大学医学部、北海道大学農学部、岩手医科大学、盛岡市民病院、岩手大学動物病院で、撮像が可能である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
開発用パーソナルコンピュータ、3Dプリンタ用材料の購入を行う。また、国際会議、国内研究会で成果発表を行う。また、複数の症例に対して、実際に術前計画を行い、その結果の評価を九州大学で行う。コンピュータ・シミュレーションの評価は、健常者のCT/CR画像と比較評価を行う。
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