2011 Fiscal Year Research-status Report
超音波スペクトロスコピー法に基づく血液粘性の非侵襲計測法に関する研究
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23500563
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
佐藤 隆幸 首都大学東京, 理工学研究科, 助教 (90326017)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 赤血球凝集度 / 超音波スペクトロスコピー / 血液粘度 |
Research Abstract |
(1) 様々な擬似凝集体試料のサイズの創出及び制御凝集現象が発生している血液内では、単独赤血球(直径8μm)から1mmを超える凝集体までが存在する。血液あるいは赤血球の実物を用いた試料調整は、その材料入手や凝集サイズ制御が困難である。ポリエステル粒子を含む溶液内に混入する凝集剤濃度によって凝集サイズを変化させることができ、ここでは作製した凝集体試料に対して顕微鏡観察及び超音波スペクトル観測を行った。その結果、当初の目論見通り、凝集剤の濃度によって凝集サイズの制御が可能であることが確認された。(2) 装置の構成開発した装置は擬似血管、試料タンク、流量計、超音波トランスデューサ、反射板、記録系(デジタルオシロスコープ、パソコン)からなる。既知のサイズの粒子が分散している溶液を試料タンクに貯蔵し、それをシリコンチューブからなる擬似血管に流す。トランスデューサによって反射板からの超音波エコー信号が取得されデジタルオシロスコープを経て、流量計の計測値と共にパソコンにおいて記録される。本研究の実用の際には測定好適部位と考えられる上腕での血流速度をこの装置で実現した際には、静水時と同じ結果が得られた(即ち流れによる外乱の影響はないことが示された)。(3)凝集度算出アルゴリズムの構築凝集径が単分散(凝集径ピークが一つ)の場合と多分散(凝集径ピークが複数)の場合によって凝集度算出アルゴリズムを区別する必要があると考えた。ここではまず、単分散系の溶液に対して径の異なる粒子を徐々に加えていった場合のスペクトル分布の変化を観測した。この結果、スペクトルは2つの粒子サイズの特徴を兼ね備えた分布を持つことがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画がおおむね順調に達成されており、盛り込んでいた3項目、即ち(1) 様々な擬似凝集体試料のサイズの創出及び制御、(2) 装置の構成、(3)凝集度算出アルゴリズムの構築、の実施がなされた。
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Strategy for Future Research Activity |
【24年度】多分散系の測定 一般に、溶液中に様々なサイズの凝集体を含む場合、凝集径分布が近似的に修正対数正規分布で表現できることを利用して、超音波減衰測定データから凝集径分布を求めることができる。この最小化アルゴリズムを開発することによって、汎用性の高い凝集度推定が可能となる。※この多分散系の解析アルゴリズム開発が本研究最大開発課題であるため、最も多くの時間と量力を費やすことを予定している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
【25年度】(1)臨床データとの比較検討: 従来の採血測定による結果をリファレンスとし、本研究で開発したシステムで同一被験者を測定した場合の結果を以下の臨床実験時の検査項目で評価する。(1)従来法と新規手法との比較(健常者,疾患者,最低各5被験者)、(2)同一患者内での日内変動(起床時,飲食前後,運動状態変化時:最低5被験者)(2)被験者への提示指標の提案測定結果の提示においては詳細な凝集度分布の提示だけでなく、専門家以外の患者にも十分に理解が可能な「安全」「注意」「要受診」等のわかりやすい提示手段を用意する必要がある。この指標の妥当性に関しても医療機関との連携を行っていく予定である。
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