2011 Fiscal Year Research-status Report
超音波照射に起因する生体内温度障害を避けるための精密測定法と数値解析法の開発
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23500568
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
遠藤 信行 神奈川大学, 工学部, 教授 (20016801)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土屋 健伸 神奈川大学, 工学部, 准教授 (50291745)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 超音波 / 温度上昇 / 寒天ファントム / 非接触観察 / シミュレーション / 三次元 / FDTD / 高速計算 |
Research Abstract |
1.生体内の温度上昇を3次元で精密に予測するプログラムの開発 超音波照射によって生ずる温度上昇を推定するために、FDTD法と熱拡散式を組み合わせたFDTD-HCE法を使用して、超音波照射エネルギーに起因する媒質内の温度上昇をシミュレーションする。従来からの経験によると、計算機推定値と実測値の差異の大きな原因として、「推定は2次元計算に対し、実測は3次元計測」が関係していると考えた。そこで、推定温度の精度を高めるため、MPIを使った並列計算による3次元精密温度上昇計算プログラムを、この一年間にわたり開発してきた。この研究に関し○MPIによるデータ転送方式を使用する計算機システムの構築を行った。すなわち、3次元計算では計算量が格段に増えるため、多数のPCを並列計算させて計算時間を短縮する必要がある。さらに、1台のPCで扱えるメモリー容量等の制限をなくすためにも並列計算方式のプログラム開発が必要である。○グラフィック用のCPUであるGPU(浮動小数点計算が得意)を用いた高速プログラムの開発を行った。2.ファントム内の接触・非接触温度計測法の開発 我々は、生体内温度を正確に計測する手段として、熱電対を非測定部位に挿入する方法を利用してきた。本研究においても、実測温度の基準値としてその値を採用するために、マイクロサーマルセンサーを用いた温度計測も行った。この際、付属するケーブル等の熱容量が計測誤差を生むので、0.3mm径の極細心線を用いるシステムを開発した。さらに、赤外線温度計測器を使用する「非接触生体内温度計測」のための計測法の開発研究を行った。すなわち2分割できる寒天ファントムを製作し、中心部(中央分割面)での温度上昇を、分割面を開放することで計測した。この計測法とマイクロサーマルセンサーによる計測値を比較検証することで、より正確な温度測定を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
(A)生体内の温度上昇を3次元で精密に予測するプログラムの開発 推定温度の精度を高めるため、MPIを使った並列計算による3次元精密温度上昇計算プログラムを、この一年間にわたり開発してきた。さらにグラフィック用のCPUであるGPU(浮動小数点計算が得意)を用いて並列計算する高速プログラムの開発を行った。この結果、1MHz程度の超音波による温度上昇に関しては、実用時間内で計算できるようになった。しかし、プログラム言語、あるいはメモリー量や時間制限のために、今のところ、これ以上の周波数では、実用的な時間内にシミュレーションが終了しない。そこで、プログラムの最適化等を行っている。(B)ファントム内の接触・非接触温度計測法の開発 赤外線温度計測機を使用する「非接触生体内温度計測」のための計測法の開発揮発を行った。この際、計測時間や外気温の変動等が予想よりも大きく影響することが分かった、そこで、超音波照射時と計測時の移行時間の短縮や、計測環境における環境の安定化に対する改良を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
○高精度シミュレーションにおいて、現在は最高1MHz程度である超音波周波数を5MHz程度まで高める。5MHzという周波数は、現在の超音波診断装置で非常によく使用されている周波数であり、温度上昇推定シミュレーションの実用性が高まる。○計測時間や外気温の変動等が予想よりも大きく影響することが分かったので、これらの影響をなくすために、恒温水槽(現有)内での超音波照射をし、手早く空中計測する計測法の開発を行う。○生体中の血液環流による冷却効果は、生体内温度上昇に大きな影響を与えることが知られている。そこで、実際の超音波診断・治療への応用を考え、血流を考慮した相補的研究を行う。すなわち、市販される生体ファントムを購入し、血流を流した状態でファントム内温度を計測する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1.計算用PCクラスターを追加購入する。2.血流を流した状態でファントム内温度を計測するために、市販される生体ファントムを購入する。3.平成23年度に得られた結果を取りまとめ、国内学会並びに国際学会で研究発表する。
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Research Products
(7 results)