2012 Fiscal Year Research-status Report
超音波照射に起因する生体内温度障害を避けるための精密測定法と数値解析法の開発
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23500568
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
遠藤 信行 神奈川大学, 工学部, 教授 (20016801)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土屋 健伸 神奈川大学, 工学部, 准教授 (50291745)
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Keywords | 超音波 / 温度上昇 / 寒天ファントム / 非接触観察 / シミュレーション / 三次元 / FDTD / 高速計算 |
Research Abstract |
(A)生体内の温度上昇を3次元で精密に予測するプログラムの開発 昨年度まで最高でも1MHzであったシミュレーション用超音波の周波数を2MHzまで高め、現実に使用されているHIFU用超音波振動子の3次元温度上昇シミューションを可能にした。 さらに、実際のHIFU振動子(2MHz)を使用した超音波照射実験における温度分布と、周波数2MHzのシミュレーション推定結果が良く一致することを確認した。現在のところシミュレーションのための周波数は、診断用超音波装置でよく使用されている5MHzまでは届いていないが、HIFUにおける温度分布の推定だけでなく、ファントム内部の温度を計測するために設置する計測用熱電対の影響等を予測することができ、実用的な範囲に入っていることを確認した。また、これらのシミュレーションのために、GPUを4ユニット使った高速高精度並列演算プログラムの開発を行った。 (B)ファントム内の接触・非接触温度計測法の開発 恒温水槽内でファントムに超音波を照射する実験装置を開発し、超音波照射後手早く空中でファントム内の温度を計測する非接触計測法の開発を行った。その結果、外気温の変動の影響や赤外線サーモグラフィーを用いた計測開始の影響等を推定でき、これらの影響を補償するための外挿法に対する知見を得た。これらの研究成果により、ファントム内の最高温度・温度分布推定の精度を高めることができ、温度上昇推定シミュレーションの実用性を高めた。 さらに、平成23~24年度に得られた結果を取りまとめ、国内学会並びに国際学会で研究発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
(A)生体内の温度上昇を3次元で精密に予測するプログラムの開発 推定温度の精度を高めるため、グラフィック用のCPUを複数ユニット使った並列計算機による3次元精密温度上昇計算プログラムを、この一年間にわたり開発してきた。特に新しい計算用コアのGPU(浮動小数点計算が得意)を複数ユニット用いて並列計算する高速プログラムの開発を行った。この結果、1MHz程度の超音波による温度上昇に関しては、実用時間内で計算できるようになった。しかし、プログラム言語、あるいはメモリー量や時間制限のために、今のところ、これ以上の周波数では、実用的な時間内にシミュレーションが終了しない。そこで、プログラムの最適化等を行っている。 (B)ファントム内の接触・非接触温度計測法の開発 赤外線温度計測機を使用する「非接触生体内温度計測」のための計測法の開発揮発を行った。この際、計測時間や外気温の変動等が予想よりも大きく影響することが分かった、そこで、超音波照射時と計測時の移行時間の短縮や、計測環境における環境の安定化に対する改良を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
(A)3次元高精密温度分布予測プログラムの改良 推定温度の精度を高めるため、並列計算による3次元精密温度上昇計算プログラムを、この二年間にわたり開発してきた。さらにグラフィック用のCPUであるGPU(浮動小数点計算が得意)を用いて並列計算する高速プログラムの開発を行った。この結果、2MHz程度の超音波による温度上昇に関しては、実用時間内で計算できるようになった。そこで、さらに4MHzまでの超音波周波数にわたるプログラムの改良を行う。 (B)ファントム内の血流を考慮した温度分布の計測 生体中の血液環流による冷却効果は、生体内温度上昇に大きな影響を与えることが知られている。そこで、実際の超音波診断・治療への応用を考え、血流を考慮した相補的研究を行う。すなわち、血流を流した状態に相当するファントムを開発し、血液環流の影響を含んだシミュレーション法プログラムを開発する。 ○平成23~24年度に得られた結果を取りまとめ、国内学会並びに国際学会で研究発表する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は、GPU搭載カード等が予定より安価であったため残額が発生した。次年度は、血液環流の影響を含んだシミュレーション法プログラムを開発するために、さらに高性能なGPU搭載したクラスターPCを購入する予定である。また、平成23~24年度に得られた結果を取りまとめ、国内学会並びに国際学会で研究発表するために、国内・国外への旅費を使う。
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Research Products
(8 results)