2012 Fiscal Year Research-status Report
重度心身障害を伴う大脳性視覚障害児・者を対象とした視覚行動評価尺度の開発
Project/Area Number |
23500578
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
境 信哉 北海道大学, 大学院保健科学研究院, 准教授 (30299804)
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Keywords | 大脳性視覚障害 / 重症心身障害 / 評価尺度 / 視覚発達 / 非運動性 |
Research Abstract |
<目的>大脳性視覚障害(以下,CVI)を伴う重度心身障害児者(以下,重障児者)の視覚機能を客観的に評価することは極めて困難である.本研究では,このような重障児者を対象とした視覚行動評価スケール(以下,スケール)を開発する. <方法>専門家会議等でスケールの内容妥当性を繰り返し検討した結果,スケールは瞳孔反応, 眼瞼反射,視野,注視,追視,縞視力,コントラスト感度,色覚の8項目から構成された.この仮尺度を健常乳児3名と重障児者5名に予備的実施し,項目と水準および検査方法が適切かどうを検討した.次に,作成したスケールの項目と水準を基に, SPSS conjointを用いて多様な視覚機能状態もつ仮想患者のカードを32 枚作成し,医療福祉専門職や養護学校教諭50名に重症度の順位付けを依頼した.この重症度判定データからコンジョイト分析を行い,各項目および水準に重みづけを行うと同時に,視覚障害の重症度を総合得点として算出する計算式を作成してスケール完成させた.検査者間信頼性の検討には,予備検査場面を撮影したVTRを用い,34 名の医療専門職および養護学校教諭間での評価の一致度を級内相関係数(以下,ICC)にて確認した.また,基準関連妥当性の検討では,CVI児者を含む 24名の重障児者に対して本スケールと視運動性眼振法によるコントラス感度測定(以下,OKN法)を実施し,スケール得点とOKN法とを総合得点ならびに項目ごとの点数別にSpearmanの順位相関係数を用いて比較した. <結果>スケール総合重症度得点(r=0.50)と縞視力(r=0.52)では中程度の有意な正の相関を示したが,コントラスト感度(r=0.39)と色覚(r=0.38)では比較的低い相関を示した.検査者間信頼性はICC=0.59となり,中程度の有意な正の相関が認められた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定どおり,今年度中に本研究の目的である評価スケールを完成させ,信頼性・妥当性を検討することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
今後(最終年度)は,国際学会での発表及び論文化を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
未使用額の7690円は,平成24年度中に執行したが,決算に関する手続きが遅れてしまい,次年度への繰り越しとなった.
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Research Products
(1 results)