2012 Fiscal Year Research-status Report
大脳・延髄ネットワークをターゲットとした新規嚥下障害治療法の開発
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23500580
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
山脇 正永 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30302855)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
檀 一平太 自治医科大学, 医学部, 准教授 (20399380)
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Keywords | 嚥下運動 / pattern generator / 脳機能 / 嚥下障害 / 脳機能マッピング / リハビリテーション / 光トポグラフィ / 抑制シグナル |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、嚥下運動時の大脳からCPGへの促進性/抑制性シグナルを解析した。より臨床的な側面から実際に治療で用いられる、食形態(液体、ゼリー、など)・味覚による嚥下運動の変化・口腔内への感覚入力(アイスマッサージ、痛覚受容体を介した刺激)・姿勢変化の条件で測定した、正常対象30例、嚥下障害患者10例の検討の結果では、テント上からCPGへの抑制シグナルのメカニズムを明らかにした。特に、従来言われていた温度刺激のみならず触覚刺激も嚥下運動に密接に関与することが示めされた。また、得られたデータから、嚥下困難に関する脳内表象パターンを抽出し、NIRSによる易嚥下性の評価尺度への応用が可能と考えられた。 さらに臨床応用への準備として、大脳磁気刺激による嚥下治療法開発の準備を行うと共に、口腔内科(歯科)・咀嚼学、ロボット工学、食品科学、リスク工学の研究者と連携体制を整備した。特に食品科学(texture, 食形態など)、咀嚼学(歯科)については実地応用への取り組みが始まった。また、リハビリテーションを念頭に置いたロボティクス分野では、リスク工学(プロセス管理工学)の協力により工学分野も含めた集学的なアプローチの分析を開始した。 本研究の結果から嚥下障害治療においてCPGよりも下位レベルのみのアプローチでは不十分であると考察した。本研究の結果は、国内外に先駆けて、大脳中枢とCPGに対する薬理学的・生理学的アプローチによって嚥下運動の再現をはかる全く新しい治療法の開発に資すると考えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目標である、1)生理的条件で脳機能計測を行う、2)実際の摂食・嚥下リハビリテーション手法の科学的基盤を解明する、3)臨床応用への準備、の3点について予定通りに進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
臨床応用への準備として、大脳磁気刺激による嚥下治療法の臨床実用への準備を開始する。また、新たな嚥下障害治療・リハビリテーションへのアプローチとして、口腔内科(歯科)・咀嚼学、ロボット工学、食品科学、リスク工学の研究者と連携体制を整えている。特に食品科学(texture, 食形態など)、咀嚼学(歯科)については実地応用への取り組みを開始する。また、リハビリテーションを念頭に置いたロボティクス分野では、リスク工学(プロセス管理工学)の協力により工学分野も含めた集学的なアプローチによる臨床応用を行う基盤を形成する。 特に次年度は上記の内容について、具体的な治療、製品開発について検討してゆく予定である。また、嚥下障害治療には医療安全の側面から、新規治療法の安全性確保の検討を開始している。安全性、倫理性に問題のないことを確認し、倫理委員会での評価を得たのち、臨床試験プロトコールを完成させ、可能であれば臨床試験を開始する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
25年度は引き続き測定を行ってゆくと共に、1)臨床応用への準備、2)他分野との連携、3)業績の発表と評価、を主として行ってゆく。 この内訳として、1)臨床応用への準備 50%、2)他分野との連携 30%、3)業績の発表と評価 20%を予定している。具体的な内容としては、消耗品50%、謝金20%、出張費20%、その他(論文作成等)10%、を予定している。
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Research Products
(2 results)