2011 Fiscal Year Research-status Report
不動に伴う慢性痛の発生メカニズムを末梢組織の変化から探る
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23500587
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
中野 治郎 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (20380834)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂本 淳哉 長崎大学, 大学病院, 理学療法士 (20584080)
沖田 実 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (50244091)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 不動 / 痛み関連行動 / c-fos / ホルマリンテスト / CGRP / 感作 |
Research Abstract |
本研究の目的は、ラット足関節の不動モデルを用い、痛みの発生・持続時期と脊髄組織の変化に加え、これまで注目されていなかった皮膚、骨格筋、関節といった末梢組織の変化を組織学的・免疫組織化学的・生化学的手法を用いて検討し、不活動が原因で発生する痛みの病態解明の一部を明らかにすることである。平成23年度は,不動に伴う慢性痛の発生時期を痛み関連行動と脊髄・脳の神経細胞の活動状況から明らかにすることを目的に実験を行った.具体的には,ラットの右側足関節を最大底屈位とした状態でギプス包帯を用いて不動化し,不動期間を 4,8 週間(各不動期間 10 匹)とした(不動群).無処置のラットを対照群とした(各期間 10 匹,計20 匹).不動期間終了後,すべてのラットにホルマリンテストを行い,その後,第 4-5 腰髄を摘出し,凍結切片を作製した.脊髄ならびに脳組織の神経細胞の活動状況の指標とするため c-fos と CGRP に対する免疫組織化学的染色を施行し,LaminaeI-II層とIII-VI層に分布するC-fos陽性細胞をカウントした. ホルマリンテストの結果,中枢神経の興奮状態が反映されるとされるホルマリン注入10~60分後(第II期)の痛み関連行動において,不動期間8週間のみのラットが対照群より有意に高値を示した.これは不動期間8週間において,中枢神経(脊髄後角)において感作が生じていることを示唆する.すなわち,不動期間4週では痛みは慢性化していないが,8週間においては慢性化していると考えられ,慢性痛の発生時期はその間にあると推測された.加えて,脊髄後角に分布するc-fos,CGRPを免疫組織化学的に解析した結果,上記を支持する結果が得られた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画した実験・解析内容はすべて行うことができ,その結果は我々の仮説を指示する結果であった.ゆえに今後の展開も計画通りに進めるとし,研究は順調に進展していると判断される.
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に従い,研究を進めていく.来年度に予定した内容の予備実験的なものを23年度中に行うことができたため,研究の推進はスムーズにいくものと予想できる. また,研究を進める上で他の要因が浮上した場合は,その必要性を十分に考慮した上で,解析を追加していく.今後は,不動に伴う痛み発生のメカニズムを明らかにするために,皮膚を中心とした末梢組織の変化を組織学的・免疫組織化学的・生化学的手法を用いて検証する. まず,実験で得られた皮膚とヒラメ筋の組織切片に対して,基本的な組織学的変化の検索を行う.本研究で最も注目しているのは痛み発生との関連が指摘されている TRPV1 受容体や P2X3 受容体であり,これらの受容体が末梢神経の自由神経終末のみならず,表皮のケラチノサイトでも発現していれば,不動に伴う痛み発生のメカニズムの解明に大きな進展をもたらすと考えている.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費は,24年度に計画している実験に必要な薬品・材料(ラット)等に適切に使用する.特に実験機器等の故障も今のところないため,計画通りのものを購入できると思われる.ただし,予定以外の消耗品,薬品が実験遂行上必要となった場合は,他の薬品との調整を適宜行った上で購入し,実験が停滞しないように努める.また,今年度の成果を国際学会で発表し,他研究者との情報交換により研究の更なる発展を図る予定であり,その旅費が必要となる.
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Research Products
(5 results)