2013 Fiscal Year Annual Research Report
不動に伴う慢性痛の発生メカニズムを末梢組織の変化から探る
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23500587
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
中野 治郎 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (20380834)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂本 淳哉 長崎大学, 大学病院, 理学療法士 (20584080)
沖田 実 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (50244091)
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Keywords | 慢性痛 / 不動 / 痛み関連行動 / NGF / TRPV1 / P2X3 / 中枢神経感作 / ケラチノサイト |
Research Abstract |
本研究の目的は,ラット足関節の不動モデルを用い,痛みの発生・持続時期と脊髄組織の変化に加え,これまで注目されていなかった皮膚,骨格筋,関節といった末梢組織の変化を検討し,不活動が原因で発生する痛みの病態解明の一部を明らかにすることである.まず,不動に伴う慢性痛の発生時期を痛み関連行動と脊髄・脳の神経細胞の活動状況から明らかにすることを目的とし,足関節を不動化したラットに対して経時的な痛覚閾値の測定,ホルマリンテストおよび脊髄に対する免疫組織化学的解析を行った.結果,不動に伴う痛みは不動2週目から出現し,不動期間が8週間におよぶと中枢神経系の感作を引き起こして慢性化すると考えられた.次に,不動に伴う痛み発生のメカニズムを末梢組織の変化から明らかにすることを目的とし,足関節を1~4週間不動化したラットの足底中央部の皮膚組織に対して免疫組織化学的解析を行った.結果,表皮厚は非薄化し,真皮上層に分布する感覚神経線維密度が増加することが明らかとなった.また,表皮におけるTRPV1,P2X3 ,NGFの発現量が不動1週目から増加しはじめ,不動期間に準拠して増加し続けた.つまり,不動が原因で発生する痛みの発生メカニズムの初期には,皮膚の変化が深く関与しているといえる.また,NGFは神経系に影響を与えるだけでなく,それ自体に発痛作用があるとされており,不動に伴う痛みの主要因ではないかと思われる.加えて,不動に伴う痛みは骨格筋でも確認され,その骨格筋ではNGF含有量が上昇と,NGFレセプター拮抗薬投与により痛みが軽減・消失した.これらの結果を総括すると,末梢組織が不動化されることによって各組織でNGFが発現増加し,それによって痛みが発生するとともに末梢神経系に影響をおよぼす.そして,その状態が長期間(8週間)持続すると,中枢神経系に感作が生じ,痛みが慢性化していくと推測される.
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Research Products
(21 results)
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[Presentation] 痛みの末梢機構.2013
Author(s)
中野治郎
Organizer
第18回日本ペインリハビリテーション学会
Place of Presentation
九州ビルディング(福岡市)
Year and Date
20130831-20130901
Invited
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