2011 Fiscal Year Research-status Report
高齢者における誤嚥および窒息に関する潜在的危険要因の分析
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23500591
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
中村 康典 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (30315444)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下堂薗 恵 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (30325782)
西 恭宏 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (10189251)
松井 竜太郎 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (60264446)
松元 秀次 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (80418863)
中村 典史 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (60217875)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 摂食・嚥下リハビリテーション |
Research Abstract |
本研究では、高齢者の誤嚥、窒息に対する潜在的危険要因を明らかにすることを目的とし、本年度は日常生活を自立しているが口腔機能に問題があると考えられる歯科医院受診高齢者を対象に摂食・嚥下機能の実態調査を行った。対象は日常生活を自立した65歳以上の高齢者2,386名で、義歯および口腔乾燥に関する項目を加えた摂食・嚥下機能に関するアンケートを用い調査し、以下の結果を得た。1.歯科医院を受診した自立高齢者では約12%が飲み込みにくさ(嚥下困難感)自覚し、後期高齢者ではその傾向が高かった。2.後期高齢者では前期高齢者に比べ、口腔期項目では「食事時間の遅延」、「軟食を好む」で、咽頭期項目では「食事時のむせ」、「声のかすれ」で、食道期項目では「夜間の咳」で有意に頻度が高く、後期高齢者では摂食・嚥下機能がより低下傾向にあることが示された。3.義歯使用により咀嚼が向上したものは約半数で、嚥下準備期における重要な咀嚼機のにおいて義歯の有効性の検討が必要であった。4.口腔乾燥に関して後期高齢者では前期高齢者に比べ有意に口腔乾燥の傾向が高く摂食・嚥下機能の低下に影響していることが示唆せれた。5.嚥下困難感にたいして、前期高齢者では「食事時間の遅延」、「ネバネバ感」、「咽頭残留感」、「飲水時のむせ」、「食事時のむせ」、「胸づまり感」、後期高齢者では「食事時間の遅延」、「ネバネバ感」、「軟食を好む」、「咽頭残留感」、「飲水時のむせ」、「胸づまり感」の項目で有意に関連する項目として挙げられた。これらの項目は自立高齢者の摂食・嚥下機能の低下を示す徴候として考えられ、誤嚥、窒息のスクリーニングをするうえで重要な危険因子として考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
自立高齢者の摂食・嚥下機能の実態を大規模な調査を行うことができた。その結果自立高齢者の潜在的な摂食・嚥下機能の低下を明らかにするとともに前期高齢者と後期高齢者の障害の程度の違いや加齢によるその変化を明らかにすることができた。また、アンケートによる自己評価ではあるが摂食・嚥下機能低下に関する要因も抽出することができ、誤嚥、窒息の危険因子検索に重要な項目が示された。本年度の目的は、自立高齢者における摂食・嚥下機能の低下や誤嚥、窒息の潜在的な要因の抽出が大きな目的であり、これらの危険因子を表す徴候の抽出は本年度に行うことができた。しかしながら、本年度は研究費の交付が遅れたため購入予定していた舌圧測定用の食道内圧カテーテルの購入が遅れ当初予定していた舌圧の測定が遅れたためその分析が行うことができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、平成23年度行った実態調査より抽出された摂食・嚥下機能低下を表す徴候について、実際の摂食・嚥下機能のスクリーニング検査、頸部聴診検査と比較し、その徴候が機能低下を表すものかとの妥当性の検討を行う。また、前年に引き続き口腔機能の評価として舌圧の測定、舌骨上筋群の筋電図学的評価を行い自立高齢者の口腔機能を生理学的評価を行っていく。さらに頭頸部がんなどの器質的欠損による口腔機能低下患者や脳血管障害による摂食・嚥下機能低下患者との比較を進めていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度当該研究費に未使用が生じた。その理由として本年度は研究費の交付が遅れたため購入予定していた舌圧測定用の食道内圧カテーテルの購入が遅れたため舌圧の測定、分析が遅れ、当初予定していた海外での研究成果報告ができなくなったため研究費に未使用が生じた。平成24年度は平成23年度行った実態調査より抽出された摂食・嚥下機能低下を表す徴候について、実際の摂食・嚥下機能のスクリーニング検査、頸部聴診検査と比較し、その徴候が機能低下を表すものかとの妥当性の検討を行う。また、前年に引き続き口腔機能の評価として舌圧の測定、舌骨上筋群の筋電図学的評価を行い自立高齢者の口腔機能を生理学的評価を行っていく。平成24年度は、平成23年度の研究成果も踏まえ国内、海外での研究成果報告を予定している。
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Research Products
(1 results)