2012 Fiscal Year Research-status Report
描画・書字課題における新たな客観的評価指標の確立と不器用さの要因解明
Project/Area Number |
23500597
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
中島 そのみ 札幌医科大学, 保健医療学部, 准教授 (70325877)
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Keywords | 書字・描画評価 / 視覚運動機能 / 不器用 / 作業療法 / リハビリテーション |
Research Abstract |
本研究の目的は、描画・書字能力(上肢機能と正確さ・読みやすさ)と視覚機能、筋活動の関連性を明らかにすることである。平成24年度の目標は、①上肢機能評価システムと新たに導入した注視点追跡システム装置との同時計測の予備実験を健常学齢児・幼児数名に実施する、②課題遂行中における手指の筋活動評価(EMG)等の検討と予備実験を、健常成人に実施し、実施可能であることを確認した後、健常学齢児・幼児にも予備実験を実施する、③データ収集を進め、データ解析も実施することであった。 平成24年度は、まずこれまで使用してきた上肢機能評価システムを改良し、ノート型タブレットPCで実施可能にすることで画面角度をなくし、日常的に行われている机上での書字・描画動作に近づけた。上記の目標については、目標の①上肢機能評価システムと注視点追跡システム装置との同時計測の予備実験を健常学齢児17名に実施することができ、以下のような結果が得られた。測定方法については、これまでの注視点追跡システム装置に比べ、被験児の半数以上はキャリブレーションが簡易に行え、負担も少なく測定がスムーズに行えた。しかし、残りの被験児は左中部、左下方のキャリブレーションがとれないことが多かった。また、描画中の課題下方の注視点が測定できない場合があり、キャリブレーションがスムーズに行かなかった児にその傾向があった。よって、健常学齢児では、注視点追跡システム装置と上肢機能評価システムを用いた際の眼球運動の測定はキャリブレーションが適切に行えれば十分に実施できることがわかった。また、健常学齢児において線引き課題ではなめらかな眼球運動に追従する形でペンによる描画が起こっていたが、自由描画課題では描画前に頂点となる位置への注視が起こりそれに向かって描画が起こるという健常成人での同様の傾向にあることが解った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年度は、当初、予定していなかった上肢機能評価システムの改良を行うとともに、新機器を用い健常学齢児44名に対して予備実験を行うことができた。また、そのうちの17名に対し、上肢機能評価システムと注視点追跡システム装置との同時計測実験が実施できた。目標の②に関しては、新たな筋活動評価機器の購入が年度末となり、予備実験を行えず、目標としていたデータ収集にまで至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、改良した上肢機能評価システムで測定した描画課題の健常成人および健常学齢児による基準データの構築とともに、課題遂行中における手指の筋活動評価(EMG)の予備実験を健常成人および健常学齢児に実施する。その後、健常学齢児および不器用さを呈する発達障害児に対し、上肢機能評価システムによる描画課題を実施し、注視点追跡システム装置による眼球運動評価と手指の筋活動評価を同時計測したデータ収集を進め、データ解析も実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費は主に注視点追跡システム装置によるデータ収集の際に必要な記録メディア、デジタルビデオカメラによる動画撮影に必要な記録メディア、データ保存のための外付けハードディスクに使用する。旅費は学会発表とデータ収集の際の交通費、人件費・謝金は研究協力被験者と実験補助に使用する。
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Research Products
(6 results)