2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23500598
|
Research Institution | Aomori University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
渡部 一郎 青森県立保健大学, 健康科学部, 教授 (50241336)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長門 五城 青森県立保健大学, 健康科学部, 助教 (20457740)
三浦 雅史 青森県立保健大学, 健康科学部, 講師 (90315557)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 毛細血管血流 / 末梢循環 / 運動療法 / 物理療法 / 交感神経機能 / 糖尿病 / 疼痛 / レイノー |
Research Abstract |
初年度研究では、JMC社毛細血管血流観察装置M320の運用や研究手法を検討した。本機器はブレ補正ソフトウェアにより11秒間の動画解析が可能であるが、フォーカスのずれ、患者の不随意運動など実際の測定にはなお困難が多い。そのため最良の画質での動画解析となるよう、デジタルビデオDV規格720×480ピクセル30コマ/秒をDVテープやハードディスク、メモリーに顕微鏡動画を音声付(計測中のサーモグラフィ操作など実験者・被験者の声も記録)で保存し・バックアップ体制を整えた。 実験恒温環境25℃湿度50%を整備し、さらに別系統で温度湿度をモニターした。験者・被検者の観察姿勢、時間、併用する非侵襲検査(サーモグラフィ、サーミスター、血圧・加速度脈波計による血管弾性度、心拍数周波数解析、電流知覚閾値など)を計測する。健常人については、安静、冷水負荷など低負荷での毛細血管動態計測のための本学倫理委員会の認可を受けた。障害者(児)については、主に安静時の毛細血管血流速度や非侵襲のサーモグラフィ・加速度脈波計測について、県内A病院での倫理委員会の認可を得た。代表・共同研究者のほか、この研究のみに専念する後期大学院生1名TW氏、この研究を卒業研究とする2名の学部学生、2名のゼミ生を確保し役割分担し共同研究を進めた。その結果、皮膚温度と毛細血管血流速度・血流量・血管径について、健常人の冷水負荷の成果や患者を含めたデータでは血圧やHbA1cなどとの血流速度・血流量の相関性が得られ、国内発表、海外発表、医学会誌に原著・研究速報として掲載された。後半は、2年目の詳細な研究のため、運動負荷試験(エルゴメータや呼気ガス分析装置を用いた漸増運動強度)や温熱療法、光線療法による交感神経ブロック作用との実験環境、非侵襲検査の検討を進めた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
健常人を対象とした条件設定(室温・湿度や、精神負荷)を一定にし、温熱・運動療法による実験について倫理委員会の承認を得て、冷水負荷試験などの検討をのべ50人程度に行い、学会誌に論文発表した。臨床的検討については、県内A病院の障害児(障害者)の静的な条件について、同病院の倫理委員会の承認を得て、非侵襲的なサーモグラフィや脈波・血圧検査と、毛細管血流の観察を9名まで左右差などの検討し、国内学会2回、国際学会の一般演題として発表し、追加したデータについては2年目に国際学会一般演題として応募審査中である。健常人と、協力を得られた患者の比較については、HbA1cや血圧などの共通のデータや血圧・BMI,脈波周波数解析、サーモグラフィなどについての研究速報を審査のある医学誌に受理され、掲載された。2年度に向け、運動負荷試験についてはエルゴメータによる呼気ガス分析による運動強度(有酸素・無酸素運動)を調整したデータ採取手法を検討し、倫理委員会書類を製作中であり、また物理療法として温熱療法・光線による星状神経節交感神経ブロック機器を利用した測定手法を検討し、こちらも倫理委員会書類を作成中であり、順調に研究がすすめられている。
|
Strategy for Future Research Activity |
計測姿勢・手法、非侵襲的検査として適切なサーモグラフィや加速度脈波計の介入法を検討した。関係する学会への発表、論文発表など数件行い、また2年目前期にも発表すべく演題応募中である。この成果や学会審議、査読者の意見をいれ、2年目には詳細な運動負荷の定量、寒冷・温熱物理療法や、交感神経ブロックによる毛細血管血流測定手法を確立し、倫理委員会書類を作成準備中である。代表・共同研究者以外に、後期大学院生2年生の1名は、引き続きこの研究のみに専念し、また学部4年生についても、この研究についての運動療法、物理療法(交感神経ブロック)をそれぞれ分担専任する体制ができている。学部3年生ゼミ生2名については、前期のうちに研究助手として、サーモグラフィ、電流知覚閾値計測、局所発汗定量計など機器操作の習熟をさせ、健常人と糖尿病患者・脳性麻痺患者の比較にとどまらず、リハビリテーション処方である定量的な運動療法や詳細な物理療法による毛細血管血流の観察(静止画、動画)、血流速度、血流量、血管徑の定量計測を進めていく。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1年目研究費は予定通り使用し2年目への持ち越しはない。また1年目に研究に必要な機器は装備されたため2年目の備品の購入予定はない。2年目予算はサーモグラフィ機器や毛細血流動画のデジタルビデオ動画ファイルの保存メディア(DV規格ビデオテープ、BD,DVDディスク、ハードディスク)、温熱物理療法機器や運動療法機器、使い捨て血糖測定キット、血中乳酸検査キット、採血キットなどの消耗品などに充てる。現在、1年目の成果について、国内学会は2件(健常人と9例の脳性麻痺児(者))、海外学会1件(2演題)の研究発表を予定し登録審査中である。予算は学会参加の旅費、参加費、論文掲載費をあてる。後期大学院生、卒業研究学部学生2名には謝金は発生しないが、非侵襲検査ながら、運動負荷・温熱物理療法負荷を加える被検者を男子学生を対象に募集するため、拘束時間により学内規定の時給670円の報償費を支出する。また本研究を主たる研究とする院生、卒業研究生以外の3年生学生には、実験補助として規定の謝金を支出するため研究費を充てる。
|
Research Products
(18 results)