2012 Fiscal Year Research-status Report
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23500601
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Research Institution | Ibaraki Prefectural University of Health Science |
Principal Investigator |
佐々木 誠一 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 教授 (50153987)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯塚 眞喜人 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 助教 (40274980)
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Keywords | 肋間神経移行 / 可塑性 / 大脳皮質 / 運動野 / 随意運動 / 霊長類 |
Research Abstract |
サルを麻酔し無菌下で第2、3肋間神経を剖出し筋皮神経から派生する上腕二頭筋の支配神経を筋皮神経から分離する部分で切断し切断部に第2肋間神経と第3肋間神経を神経縫合した。手術後、手術後8ヶ月経過してから肋間神経移行神経上腕二頭筋、上腕三頭筋、三角筋にワイヤー電極を留置した。筋電図と動作画像の同時記録を行い肋間神経移行上腕二頭筋IC-bicepsの筋電図を解析した。餌を取り口に運ぶ動作について上肢を前に伸ばすときにはIC-bicepsと三頭筋は同時収縮することが見いだされた。餌を口に運ぶ時には三頭筋は抑制されIC-bicepsのみの筋電図が見いだされた。上肢運動において三頭筋とIC-bicepsが強調して働いていることが分かった。覚醒状態ではIC-bicepsに時に極弱い呼吸性の筋電図が認められた。さらにサルに麻酔下で5%二酸化炭素を吸入させると肋間筋とともにIC-bicepsにも呼吸性の筋電図が明瞭に現れた。これらの実験結果はIC-bicepsを支配する肋間神経運動ニューロンにこれまでの呼吸性シナプス入力が減弱し、大脳皮質からの随意性シナプス入力が神経移行により新たに加わることが分かった。これまで運動野の障害後に運動野あるいはその周辺領域での可塑的変化で運動回復が説明されてきたが運動野下行路での可塑的変化の可能性が見出された意義は大きいと思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
肋間神経移行後の運動野の可塑的変化の解明に向けてデータを取得できている。カニクイザルの一側の第2、3肋間神経を上腕二頭筋を支配する筋皮神経に神経移行する手術は順調にできた。これまで運動野の位置を確定し、左右の運動野の存在する位置に慢性実験用チャンバーを取り付けた。微小金属電極を刺入し、上肢領域を微小電流刺激し肋間神経移行神経上腕二頭筋が上肢支配領域、あるいは体幹領域のどちらから興奮入力を受けるか調べた。正常側を同様に微小電流刺激して得られた正常側の体部位局在のデータを指標にして移行側での大脳皮質での体部位局在を比較検討をして大脳皮質の可塑的変化ではなく移行側大脳皮質運動野下行路の可塑的変化がおきた可能性が見出している。肋間神経移行後、餌取り動作などの随意動作をさせ二頭筋の筋電図を解析し呼吸活動と随意運動がかい離することを確かめることができた。大脳皮質の運動野を微小電流刺激し上肢支配領域と思われる領域から肋間神経移行した二頭筋から単潜時で誘発筋電図が記録できた。平成24年度の計画を順調に実施できたと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度の平成25年度に新たに肋間神経移行したサルを作成する。運動野の位置をMRIで確かめ運動野を確定し、左右の運動野の存在する位置に慢性実験用チャンバーを取り付ける。微小金属電極を刺入し、上肢領域を微小電流刺激し肋間神経移行神経上腕二頭筋が上肢支配領域、あるいは体幹領域のどちらから興奮入力を受けるか調べる。肋間神経移行神経上腕二頭筋を収縮させる運動野領域にタングステン微小電極を運動野直上に取り付けた記録チャンバーから刺入し単一錐体路細胞から活動を記録し、肋間移行した上腕二頭筋から筋電図を記録し単一錐体路細胞の活動電位をトリガーとして全波整流し高域遮断した筋電図波形を平均加算する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
現時点では50万円を超える機器の購入予定はない。実験動物購入費と1年間の飼育管理費70万円、タングステン電極10万円、電気部品10万円、薬品(麻酔薬、鎮痛薬、抗菌薬等)10万円、試薬(ホルマリン、塩化ナトリウム、塩化カリウム等)5万円、学会出張旅費(生理学大会、神経科学大会)20万円、報償費(データ整理、実験補助)10万円等が必要である。
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Research Products
(5 results)