2013 Fiscal Year Annual Research Report
メタボリック症候群と脳梗塞における運動療法の抗血栓作用と動脈硬化抑制効果の解析
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23500607
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
倉林 均 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (70192036)
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Keywords | リハビリテーション / 動脈硬化 / メタボリック症候群 / 血小板 / 脳卒中 |
Research Abstract |
運動療法は単に運動機能の回復だけではなく免疫機能、内分泌機能、血管内皮機能などの改善にも有用であるという理念のもとに、私達は運動療法が生体に及ぼす影響を研究してきた。平成16-17年度科研費による研究では、脳卒中においては動脈硬化により血小板が活性化し、血管内皮機能や線溶機能が傷害されていることを報告し、運動療法が動脈硬化進展を抑制し脳卒中の二次予防に寄与することを示唆した。平成20-22年度科研費による研究では、運動療法の継続により脳梗塞における血管内皮障害と血小板活性化は軽減し、凝固機能は低下し、線溶機能が亢進することを報告し、運動療法の継続が血栓形成傾向を抑えて脳梗塞の二次予防に寄与することを示唆した。 本研究では、動脈硬化の進展には慢性炎症刺激や血小板活性化、リンパ球活性化が関与しており、運動療法が血小板・リンパ球や慢性炎症の抑制を介して動脈硬化進展を阻止し脳卒中予防に寄与する可能性を研究した。その結果、運動療法が血小板活性化や血管内皮障害を抑制することが判明し、また抑制の程度は運動療法の強度に依存する傾向がみられた。さらに運動療法は炎症性サイトカイン産生を抑制し、リンパ球抑制性サイトカイン産生を増加する傾向がみられた。また運動療法が単球機能やアポトーシス、アディポカインに影響を及ぼすことも示唆された。一方、運動療法は施行時間に応じて抗凝固機能を増大し、線溶機能を強化することが判明した。亜急性期だけでなく慢性期についても同様の傾向(血小板活性化の抑制、血管内皮障害の軽減、炎症性サイトカインの抑制、リンパ球機能の抑制性、単球機能・アポトーシス・アディポカインへの影響)がみられた。運動療法を長期間継続していくことにより血栓傾向を抑制し、動脈硬化の伸展を抑制して、脳梗塞の二次予防に寄与することが示唆された。
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Research Products
(8 results)