2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23500609
|
Research Institution | Mejiro University |
Principal Investigator |
藤田 佳男 目白大学, 保健医療学部, 講師 (40584206)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 運転リハビリテーション 米国 |
Research Abstract |
本研究の目的は高齢者の移動の自由を保障するため、有効視野測定法を用いた簡便な運転適性評価システムを実用化することである。今年度は研究代表者が開発した有効視野測定ソフトウェアVFIT-EVの改良と運転行動質問紙高齢者版を作成する計画であった。しかし連携研究者や臨床家などとディスカッションを行った結果、現在のハードウェア(WindowsPC)からiPadに変更した方が平成25年に計画している臨床現場での試用が円滑に進むであろうという結論に至り、ソフトウェア開発を次年度にして24年度に行う計画であったVFIT-EV改良版の信頼性、妥当性の検証を前倒しして実施した。この研究は近隣のタクシー会社との共同研究として実施した。研究対象は高齢プロドライバー(タクシー乗務員)20名であり、机上で可能な認知機能検査、VFIT-EVなどを実施した。妥当性を評価する変数としてタクシー会社から運行記録、事故時のドライブレコーダの動画データの提供を受け分析を行った。その結果、乗務員の20%には認知症のスクリーニング検査で認知症の疑いが認められた。しかしスクリーニング検査の成績と事故経験には直接の関係は認められなかった。また事故のタイプにもよるが、ドライビングレコーダで明らかに不注意が認められるケースでは注意機能の低下または精神的に余裕が無い可能性が示唆された。また昨年度に本研究の準備として行った認知機能検査、有効視野検査と実車評価(教習所検定員による運転能力の成績)の関係にかかわる論文をまとめ、学術誌「作業療法」に投稿し、原著論文として採択された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的を達成するにはまず、1)VFITソフトウェアを多忙な臨床現場で簡単に使用できるようにソフトウェア、ハードウェア、実施方法などを含めて改良すること。2)VFITソフトウェアの健常者における年齢別平均値など標準的なデータおよび患者データを増やして、信頼性を向上すること。3)VFITソフトウェアの妥当性を現在の実車評価データのみでなく、事故経験やさらには暴露度(走行距離)を考慮したデータでの妥当性を検証すること。等が求められる。今回助成を受けている平成25年度までの目標は主に、1)および2)であるが、このうちVFITソフトウェアの改良は実績概要で説明したとおり平成24年度に行うことと変更した。しかし、2)および3)の一部を平成22年度にタクシー乗務員で実施出来たため、全体を見ると概ね順調に推移している。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究を円滑に推進する為には、1)ソフトウェアの改良について、用いるハードウェアの変更にどう対処するか? 2)健常者における年齢別平均値など標準的なデータおよび患者データを増やすためにはどのようにするか?などが今後の検討課題としてあげられている。1)については新たな言語を用いたプログラミングが必要になるため基本設計および試作を研究代表者が行い、それ以降は外部に委託した方が効率良く開発を進められる。また試作品の検証の為にアルバイトを雇用し、検査の補助に入れることにより、迅速に試作の検証を進める。2)についても研究代表者の勤務先でアルバイトを雇用し進めるが、患者データについては広く近隣の共同研究先に検査装置を貸し出し、データ取りをして頂くことを計画している。既に3カ所程度は貸出希望があるため、検査装置としてノートPC、入力装置、検査マニュアルなどを準備する計画である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究をさらに効率良く推進するため、ソフトウェアの開発委託費について50万円程度を計画している。またデータ取りのアルバイトについて30万円程度を見込み、これにより高齢者20名程度、若年者30名程度のデータを得る。また被験者50名の謝金は一回5千円で計25万円を見込んでいる。また貸出できる測定システムを中古PCで作成する。これは頭部固定の顎台や入力装置などを含め15万円程度で3セット製作する計画である。またソフトウェア実用化のモデルを探る目的で、7月に開催されるADED’s Annual Conference and Exhibits(運転リハビリ専門家学会)にて欧米の状況を視察を行う。これには交通費、宿泊費に20万円を計画している。
|