2011 Fiscal Year Research-status Report
リンパ浮腫の定量的評価法の計量心理学的分析と使用指針の作成に関する研究
Project/Area Number |
23500618
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
辻 哲也 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (90245639)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | リンパ浮腫 / 評価法 / 計量心理学的特性 / 子宮癌 / 卵巣癌 / 婦人科癌 / QOL |
Research Abstract |
本研究の目的は、下肢リンパ浮腫患者を対象に、非接触3次元デジタイザ(VIVID 910、コニカ・ミノルタ社製、日本)、赤外線スキャン(Perometer550T、Pero-System社製、ドイツ)、水置換法(自作)および巻尺を用いて下肢体積および周径を計測し、患者の背景因子やリンパ浮腫の重症度、等との関係を分析し、個々の評価機器の計量心理学的特性(信頼性、併存的妥当性)を検証し、臨床業務・研究における使用指針を作成することである。研究デザインは非介入型臨床研究、対象は健常者・婦人科癌術後の二次性下肢リンパ浮腫患者である。計測の方法については、立位姿勢で非接触3次元デジタイザ(VIVID)・赤外線スキャン(Perometer)を用いた下肢の体積測定・巻尺を用いた下肢周径の計測を30分以内に2回測定を繰り返し、その後、水置換法による体積測定を1回行う。VIVIDでは下肢を6方向から撮影し3D画像化し、計測ソフトにより体積および下肢周径を算出する。Perometerでは赤外線によるスキャンを行い画像化、計測ソフトにより体積および下肢周径を算出する。水置換法では、水槽に下肢を入れ注水量から体積を測定する。平成23年度は、まずVIVID、Perometerの動作確認を行った。水置換法については水槽やポンプなど必要物品の購入と機器作成を実施した。次に先行研究して健常者10名において巻き尺、VIVIDおよび水置換法の信頼性(再現性)・妥当性の検討を実施した。結果、信頼性に関しては、巻き尺・VIVIDによる下肢周径計測では級内相関係数(ICC)0.8以上、VIVIDによる体積の計測においてもICC0.8以上と良好であった。一方、妥当性に関しては、下肢周径計測における巻き尺とVIVIDとの相関0.76以上、体積計測におけるVIVIDと水置換法との相関0.86と良好であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
赤外線スキャン(Perometer550T、Pero-System社製、ドイツ)の購入に際しては、日本の代理店が不在のため、ドイツの製造元へ直接、発注したが、税関での検閲を含め、商品納入のための手続きは、スムーズに進み、無事に納入することができた。Perometer550Tの初期不良やソフトウエアの不具合等もなく、計測は順調に行えている。水置換法は自作し順調に完成した。巻き尺、非接触3次元デジタイザ(VIVID 910、コニカ・ミノルタ社製、日本)および水置換法に関しては健常者10名での先行研究を実施し、良好な信頼性・妥当性を得られた。予定された平成23年度の計画どおりに研究は進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度には、健常者および婦人科術後の二次性リンパ浮腫患者のエントリーし、非接触3次元デジタイザ(VIVID 910、コニカ・ミノルタ社製、日本)、赤外線スキャン(Perometer550T、Pero-System社製、ドイツ)、水置換法(自作)および巻尺を用いて下肢体積および周径を計測を行う。また、随時、結果の解析を行う。信頼性(再現性)の評価に関しては、立位姿勢で、非接触3次元デジタイザおよび赤外線スキャンを用いた下肢の体積測定および巻尺を用いた下肢周径の計測を行う。30分以内に2回測定を繰り返し、測定した値について級内相関係数(ICC)を求める。妥当性の評価に関しては、巻尺を用いた下肢周径の計測、非接触3次元デジタイザによる同一部位の周径の測定値との相関係数を求める。非接触3次元デジタイザ、赤外線スキャンおよび水置換法による下肢体積の測定との相関係数を求める。また、背景因子や浮腫の重症度およびリンパ浮腫治療による浮腫の改善度と各評価機器による下肢体積や周径値と背景因子やリンパ浮腫の重症度等との関係を分析する。平成25年度には、結果の解析を終了し成果をまとめる。個々の評価機器の計量心理学的特性(信頼性、併存的妥当性)の検証結果をふまえて、臨床業務・研究における使用指針を作成するし、学会発表および論文として公開する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
データ収集・分析のため、専用のPC、ソフトウエア、記録媒体等を購入する。同分野における海外の進行状況を渉猟するために、米国リハビリテーション医学会(American academy of physical medicine and rehabilitation 2012 Annual Assembly 、Atlanta)へ参加する。
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