2012 Fiscal Year Research-status Report
反復経頭蓋磁気刺激による失語症治療効果と脳活動パターン変化に関する検討
Project/Area Number |
23500633
|
Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
岡崎 哲也 産業医科大学, 医学部, 講師 (40352314)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
蜂須賀 研二 産業医科大学, 医学部, 教授 (00129602)
|
Keywords | 反復経頭蓋磁気刺激 / 近赤外線分光法 / 失語症 |
Research Abstract |
本研究は失語症を有する慢性期脳卒中患者を対象に反復経頭蓋磁気刺激(repetitive Trans Magnetic Stimulation; rTMS)の失語症の改善効果を検証し,さらに近赤外分光法(near-infrared spectroscopy;NIRS)の手法を用いてrTMSが脳活動に与える影響,rTMS治療期間前後における言語課題遂行中の脳活動パターンの変化について客観的に評価することを目的とする.各々についての成果を以下に述べる. (1)rTMSによる失語症の改善効果について: 運動優位型失語症患者5症例でrTMSを有害事象なく施行できた.自覚的な呼称の改善,介護者の観察における自由会話での発話量増加,ジャルゴンの減少などの改善を認めた. 100語テストの正答率はrTMS前が64.8±18.4%(平均±標準偏差),rTMS後が68.2±21.2%であった.5名のうち改善ありが3名,不変が2名であった. (2)光トポグラフィ装置(ETG-100,日立メディコ)による言語野活動評価について: 5症例においてrTMS治療期間前後で言語課題遂行時の脳活動を測定した.脳活動の左右バランスを示す側化指数(Laterality Index)の変化に一定の傾向は認めなかった.対象者の病変部位や失語症重症度によってLaterality Indexが多様であった可能性,また変化を適切に測定できなかった可能性(レスト期間の課題,タスク期間の言語課題と失語症重症度との不適合)がある.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の対象は運動性失語を有する慢性期脳血管障害患者である.なかでも,臨床的改善を失語症テストの成績向上として示すためにはテストの天井効果や床効果を認めない程度の重症度である必要がある.本年度研究の対象症例の失語症状は望ましい程度よりも重症に偏る傾向にあったと考えられる.病巣について,5名中1名は左前・側頭葉の皮質病変を有していた.光トポグラフィー装置での測定時に過度に緊張し,測定結果への影響が疑われた者があった.
|
Strategy for Future Research Activity |
広報,近隣病院への出張等含めて引き続き対象症例の確保に努める(望ましい重症度,皮質下病変症例を主とする). 光トポグラフィ装置を用いた言語野活動評価はレスト期間の課題変更とともに測定の場・機器装着への十分な慣れを担保するよう努める.光トポグラフィ装置を用いた言語野活動評価について類似した手法をとる研究施設との意見・情報交換を行う.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
光トポグラフィ装置(ETG-100,日立メディコ)のリース料金,旅費(研究打ち合わせ,成果発表)などを計画している.
|