2012 Fiscal Year Research-status Report
バイオメカニクスと電気生理の融合による理学療法評価法の開発と応用
Project/Area Number |
23500635
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Research Institution | Kumamoto Health Science University |
Principal Investigator |
松原 誠仁 熊本保健科学大学, 保健科学部, 講師 (60515782)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯山 準一 熊本保健科学大学, 保健科学部, 教授 (00398299)
吉村 恵 熊本保健科学大学, 生命科学研究科, 教授 (10140641)
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Keywords | 国際情報交換 |
Research Abstract |
本研究の目的は、バイオメカニクス的手法と電気生理学的解析およびシミュレーション技術を用いて、筋収縮および関節運動を入力値とした神経系の応答を明らかにし、痙縮に対する次世代の理学療法評価法および治療法の開発である。 平成23年度は、ラットにおいて他動的に誘発された関節運動に対する神経系の応答メカニズムについて検討を行い、脊髄後根神経節ニューロンの発火応答の記録法を確立した。その結果を受けて、平成24年度は、入力を他動的関節運動、出力を脊髄後根神経節ニューロンの発火応答とした統計学的なシミュレーションを行った。 関節角度や角速度などのキネマティクス的分析項目に加え、運動の力源となる関節トルク(筋収縮に伴う張力と等しいと仮定できる)を推定する方法の開発を試みた。一般に、関節トルクの推定には、身体部分慣性係数(質量、質量中心位置および慣性モーメントなど)が必要となる。そこで、ラットの身体部分慣性係数を物理振り子法によって推定する方法を考案し、得られた慣性係数を用いることによって、逆動力学演算が可能となった。 その結果、他動運動時における関節トルク、パワーおよび力学的仕事など筋収縮に関する重要な力学的パラメータを算出することが可能となった。 得られたキネマティクスおよびキネティクス的分析項目を用いて、発火頻度を目的関数とする力学的評価量の貢献度を求めた。その結果、1.関節角度、2.関節角速度、3.関節トルク、4.関節角度および角速度などをセンシングする感覚ニューロンの分類が可能となった。これらのことから、出力された運動情報から、対応する運動感覚ニューロンの神経線維を推定することが可能であることが示唆された。また、入力値である運動感覚の相違が脊髄後根神経節ニューロンの発火応答を変化させることは、科学的根拠に基づいた理学療法遂行のための基礎的知見となるであろう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年度では、脊髄損傷および脳卒中など病態モデルラットにおける神経系の応答に関する基礎的知見を得ることを2番目の目的としていたが、正常ラットモデルのシミュレーションのみ達成できた。 しかしながら、脊髄損傷および脳卒中などの病態モデルラットにおいて、本研究で用いている計測技術を適用するためには、さらなる試みが必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度では、24年度に達成できなかった脊髄損傷および脳卒中など病態モデルラットにおける関節運動情報を入力とした神経系の応答に関するシミュレーションを試みる。また、機械的なエネルギー(熱、水、光および電気など)を外部から加えることで、疼痛軽減、血液循環の改善およびリラクゼーションなどの効果が期待される治療法が物理療法である。その中で、寒冷および温熱療法は最も頻繁に行われる治療法であるが、熱の強度、暴露時間および暴露頻度を制御すれば、様々な応用方法が潜在すると考えられる。そこで、ラットに寒冷および温熱療法を施行した際の神経系の応答変化を記録し、痙縮に対する新たな物理療法の検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度では、病態モデルラットおよび計測用微小ガラス電極の購入、成果発表論文印刷費などを計上する。また、これまでに得られた成果を国内外の関連学会に公表するための旅費を計上する。 なお、平成25年度は、最終年度であるため人件費および謝金等は計上しない。
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Research Products
(3 results)