2013 Fiscal Year Annual Research Report
神経機能を加味した誤嚥ラットモデル作成と感覚刺激に対する嚥下評価法の検討
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23500640
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
狩野 充浩 東北大学, 歯学研究科(研究院), 大学院非常勤講師 (10419236)
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Keywords | 嚥下機能 / 誤嚥モデル / 神経機能 / 感覚刺激 |
Research Abstract |
嚥下機能は重要な機能の1つであるが、現在、高齢者の誤嚥性肺炎が問題視されており、誤嚥性肺炎患者の肺から口腔内細菌が検出されるなど歯科においても重要度の高い問題である。本研究では、嚥下機能の評価法の確立と嚥下に対する病的変化(加齢)と味覚、嗅覚、冷温覚など各種感覚刺激の嚥下反射改善効果の体系的評価のため、誤嚥ラットモデルを作成し、咽頭喉頭領域の知覚や運動に関わる舌咽、迷走神経の入力や出力に関わる神経節や嚥下の制御に関わる脳幹の神経核更には大脳の変化について明らかにすることを目的とした。最終年の今年度は、舌咽神経や上喉頭神経切断により、誤嚥ラットモデルの作成を行う予定であったがこれらの神経切断のためには、その手術の際に咽頭や周囲組織の挫滅が生じる。誤嚥を生じさせることができたとしても、それが感覚異常のためか、咽頭筋などの変性によるものか判断できない。そこで、感覚神経損傷のマーカーであるgalaninの分布を正常及び誤嚥(神経切断)ラットの咽頭及び舌咽・迷走神経節の感覚ニューロンで明らかにすることにした。まず正常ラット咽頭や周囲組織の粘膜におけるgalaninを含む神経の分布について正常ラット4匹を用いて調査した。動物を麻酔後、Zamboni固定液で潅流し、鼻腔、口腔、咽頭、喉頭、上位の食道、気管を一塊に取り出し、凍結切片作製後免疫染色を行った。その結果、galaninを含む神経線維が咽頭やその周囲組織で豊富に観察された。これらの神経線維は粘膜固有層に数多く認められ、それらの一部は上皮内や味蕾内に侵入していた。galaninを含む神経線維は咽頭喉頭部・喉頭蓋喉頭側・軟口蓋粘膜で最も多くみられた。舌咽、迷走神経節においては、galaninは、多くの小型ニューロンに認められた。期間内に、誤嚥ラット咽頭におけるgalaninの分布や舌咽、迷走神経節における感覚ニューロンの変性については明らかにできなかったので、今後の検討課題としたい。
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