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2012 Fiscal Year Research-status Report

視覚障害者のユーザビリティを確保したウェブサイトの構造解明に関する研究

Research Project

Project/Area Number 23500642
Research InstitutionTsukuba University of Technology

Principal Investigator

飯塚 潤一  筑波技術大学, 障害者高等教育研究支援センター, 教授 (90436288)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 岡本 明  筑波技術大学, その他部局等, 名誉教授 (10341752)
Keywords視覚障害者 / ウェブサイト / ユーザビリティ / アクセシビリティ / NASA-TLX / 心的負担
Research Abstract

昨年度開発した“録画/録音システム”を用いて,重度視覚障害のある実験協力者による実験を遂行した。
データの分析項目として,記憶力,心的負担,情報検索時間,などを録画データから抽出することができた。記憶力については従来から“視覚障害者は,目で見ることができない分,記憶力が良い”と言われ,日常生活でも視覚障害教員から感じることが多かった。しかし,本実験データからは,晴眼者と比べ有意な差は見られず,俗説である可能性が高い。関連する先行研究もなく,この結果は学会で発表する予定である。
心的負担についてもこれまでのデータ通り,“視覚障害者は情報入手速度が遅くならざるを得ないので,我慢強い”とも言われてきたが,晴眼者と同様,ウェブサイト検索で必要な情報が見つからない場合は,相当な心的負担を感じており,記憶力と同様,我慢強さも俗説の可能性が高い。この結果も極めて興味深いもので,更に研究を進めていく予定である。
情報検索時間については,重度視覚障害者は晴眼者と違い,画面に表示される情報を一読できないだけに,これまでの実験結果と同じく,非常に時間がかかっている。その結果,一画面に表示される情報が多いサイトは好まれない。一方,一画面の情報が少なく,その分,階層が深いサイトでは,現在位置を把握できなくなり,晴眼者以上に心的負担が大きくなる結果となった。実験と同期して行っている文献調査において,“LOSTNESS(損失度)”という概念を提唱している文献を見つけ,本実験で得られたデータを現在分析中である。LOSTNESSとは,既に閲覧したはずの階層を上下に移動したり,同じ階層を右往左往したり,それらの“迷い度合”を数値化したものである。
今回,得られた結果は,現在その詳細を分析中で,晴眼者に対する追実験を行い,まとめていく。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

昨年度,“録画/録音システム”の開発が遅れたため,24年度は順調に実験が行えたものの,その影響もありデータの分析に後れを生じ,学会発表・論文投稿などには至らなかった。
24年度に,重度視覚障害者の基本的なデータは取得できたと考えている。データの分析途中であるが,“研究実績の概要”で述べたように,従来言われていたことが,本実験によるデータによって“俗説”である可能性が高いという興味深い結果が得られている。研究計画全般の中で,実験システムの開発,視覚障害者(比較データとしての晴眼者)への実験,それらを元にしたガイドラインの制作,を大きな柱とすると,大きな障害もなくデータ収集が行うことができている。
加えて,前述のLOSTNESSという新たな評価尺度も検討しており,以前の遅れを取り戻している状態と言える。早急に晴眼者に対する実験を行い,次なるステップに移行する予定である。

Strategy for Future Research Activity

本研究申請時に立案した研究内容および計画に大きな変更はない。具体的には3項目あり,
(1)視覚障害者にとってのウェブ・ユーザビリティに関する評価方法の確立,のため,心的負担を計測する代表的手法であるNASA-TLXを中心に,それを裏付ける実験協力者の記憶力,情報検索時間の相関を,更に明らかにしていく。加えて,前述のLOSTNESS(損失度)の,NASA-TLXや検索時間との関係性について調査する予定である。
(2)視覚障害者にわかりやすいウェブサイトの構造の解明とユーザビリティガイドライン策定のため,昨年度,視覚障害者を中心にデータ収集を行ったので,今年度はその比較として晴眼者への追実験を行い,データを充実させていく。その上でNASA-TLXの評価結果を元に,視覚障害者・晴眼者ともに心的負担が小さくなるようなウェブサイト構成はどのようなものか,を提言すると同時に,サイトを上層から検索する方略を保管するサイト内検索機能のあり方などについても検討していく。
(3)国内外の最先端研究状況を把握するため,関連学会への参加や論文調査などは,引き続き行っていく。
これらの成果を,関連学会で発表すると同時に,論文誌に投稿することを目指す。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

24年度は,視覚障害者にわかりやすいウェブサイト構築の要素を抽出するため,疑似的なウェブサイトを構築し,それに研究費を拠出した。先行研究を参考にして,階層構造の違う5パターンのウェブサイトを試作した。それらを評価した結果,用語や分類を見直す必要があることがわかり,何回か改良を加えた。疑似ウェブサイトの作り直し,実験の実施およびデータの分析に時間がかかり,学会でその成果を発表できなかった。残額の92,489円は25年度学会発表用に使用する予定である。
25年度は,晴眼者・視覚障害者への追実験を繰り返し,データの精度を高めていく。研究費の一部はこれらの謝金として使用する。共同研究者とのデータ分析・検討を,本学および東京都内で行う予定にしており,その打合せ費用も計上している。
また,必要に応じて更に実証的なウェブサイトを制作し,より現実のものに近い状態で実験を行う予定である。
最終的には,視覚障害者にわかりやすいウェブサイト制作のためのガイドラインの制作を行う。
なお,国内外の最先端研究状況を把握するため,日本ロービジョン学会などの視覚障害系,ヒューマンインタフェース学会などの認知心理系などの関連学会への参加や論文調査などは,引き続き行っていく。研究費はその参加費などにも使用する予定である。

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Published: 2014-07-24  

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