2013 Fiscal Year Annual Research Report
電動義手による物体把持向上のためのヒト指尖部pulp機能の研究
Project/Area Number |
23500643
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
嶋脇 聡 宇都宮大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10344904)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒井 直隆 宇都宮大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90235119)
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Keywords | 電動義手 / 有限要素法 / MRI / CT / 指腹部 / 把持力 |
Research Abstract |
本研究の目的は、ヒト手指を参考にして,電動義手の骨格と表皮の間にpulp構造(柔軟性に富んだ組織)を設置して,安定した物体把持が可能な最適なpulp複合構造および最適なpulp素材を開発することである. 平成25年度では、有限要素法によるpulpの変形解析を実施した。三次元ヒト指尖部モデルは、指骨、皮下組織、皮膚、pulp部、爪から構成された。被験者1名(22歳、男性)に対して、右示指のCTおよびMRI画像を撮影した。CT画像から指骨、皮下組織、皮膚モデルを、MRI画像からpulp部モデルを構築した。爪の作成は実際に被験者の爪と比較をして、相当する皮膚のエリアに定義した。構築した各部位のモデルには、文献より得られた材料特性を与えた。指骨および爪モデルは剛体とし、それ以外は線形弾性体とした。計算条件として。指モデルの近位断面に移動および回転の拘束条件を与えた。モデルの指腹部を変形させるために、指尖部から近位へ8mmの位置に、直径4mm球体または15mm平板を衝突させた。 得られた計算結果より、圧迫荷重0.5Nと3.0Nで、各断面における指全体の断面積、厚さ、幅およびpulp部の断面積の変化率を算出した。球体および平板圧迫の場合、圧迫部近傍で、指全体の幅は増加し、厚さは減少した。また、指全体およびpulp部の断面積は減少した。圧迫荷重が増加すると、変化率も増加した。これらの計算結果は、MRIで撮影された実際のヒト指の変化と定性的に一致していたが、ヒト指の変化の方が大きく、有限要素解析では過小評価されていた。この要因として、皮下組織とpulp部を区分して、それぞれ別の物体と仮定していたが、実際のヒト指では、変形に伴ってpulp部が移動するのではなく、pulp部に含まれる脂肪や血液が移動している。よって、ヒト指はより小さい荷重で大きく変化すると考えられた。
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Research Products
(2 results)