2013 Fiscal Year Research-status Report
音声地図と遠隔支援の併用による視覚障害者のための移動支援システムに関する研究
Project/Area Number |
23500655
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Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
松本 三千人 富山県立大学, 工学部, 教授 (90373539)
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Keywords | 移動支援 |
Research Abstract |
1) 要支援者の高精度な行動特性の把握について:視覚障碍者の移動支援を行う際、単に、現在地から目的地までのナビゲーション(経路支援)をするだけでなく、その経路周辺に何があるのかの情報やこれまでにどの程度訪問した事があるのか等の情報を提供する事が、視覚障碍者の日常生活をより豊かにすることに寄与出来る。そこで、日常生活から収集したGPS情報をクラスタリングおよびラべリングを行うことでユーザの訪問履歴を取得する手法を検討し、ユーザの訪問履歴をある程度正しく取得できることを確認した。この方法を視覚障碍者の移動支援に適用する事で、より動的な移動支援を実現できる。例えば、現在地と目的地の間の往復ではなく、目的地の近くにある良く訪問する場所に寄り道して帰る事が可能となる。 2) 音声地図のDAISY化(階層化)について:視覚障碍者へのヒアリングを通して、音声地図による表現は、視覚障碍者の歩行能力、視覚障害となった経緯によって、受け取り方、理解の度合いが大きく異なるとの知見を得た。つまり、ある人にとっての経路説明は簡略な説明が適切であって、詳細な説明はかえって分かりづらい事になる。そこで、目的地までの経路を詳細に説明したバージョンと概略を説明したバージョンを用意し、個人に適したバージョンを選択できるようにした。 3) 経路のイメージ化手法の確立について:触地図の表現は、あまり詳細化するとかえって分かりづらくなる。全体の経路の概略をイメージし、その後、その部分を詳細化する事で、経路がイメージしやすくなるとの知見が得られた。そこで、触地図に関しても簡易版と詳細版と階層化する事の効果を確認した。また、触地図を作成する際の線の太さやシンボルに対する指の分解能に関する基礎実験を実施し、分かり易い触地図作成を行う場合の知見を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1) 要支援者の高精度な行動特性の把握については、GPS情報を活用する事でユーザに意識させることなく、ある程度正しく取得でき、より動的な移動支援を実現できる見通しを得た。 2) 音声地図のDAISY化(階層化)については、ある特定な経路ではあるが、具体的な音声地図の階層化を行い、その効果を確認できた。 3) 経路のイメージ化手法の確立については、線の太さやシンボルの大きさ・形状に対する指の分解能に関する基礎データが得られた。また、触地図の階層化の効果を実証実験で確認できた。 4)音声地図作成のための経路上の情報を、効率よく収集するための仕組みが十分構築できていない。また、全体システムとしての実用性検証が不十分な状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度(最終年度)計画: 25年度(期間延長による最終年度)は、音声地図と触地図を連携した実証実験を実施するために、有効性の高い触地図作成を試みていたが、その評価としては主観的評価以外の評価方法が見つからなかった。また、視覚障碍者支援団体との間で実証実験を計画する中で、ナビゲーションの案内エリアの拡大と利用ツールとして、スマートホンとの連携を希望する声が上がってきた。そのため、スマートホンの利用形態の検討とこれまで得られた結果を踏まえ、富山市内での実証実験を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
25年度は、音声地図と触地図を連携させた実証実験を予定していたが、視覚障碍者支援団体の「Bitsとやま」から、ナビゲーションの案内エリアの拡大、屋外・屋内のシームレスな案内、また、利用ツールとして、スマートホンとの連携を考えて欲しいとの要望が上がってきた。そのため、計画を変更し、要望の可能性についての検討を優先し、実証実験を次年度に行う事としたため、未使用額生じた。 このため、スマートホンの利用形態の検討とそれを踏まえた実証実験を次年度に行う事とし、未使用額は、案内エリアの環境情報の調査・収集と実証実験実施のための機材購入、実験協力者、実験補助者等への謝金、成果発表のための学会参加費、旅費等にあてることとしたい。
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