2012 Fiscal Year Research-status Report
幼児の運動能力の二極化傾向とパフォーマンス特性との関連に関する研究
Project/Area Number |
23500677
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Research Institution | Fukuoka Prefectural University |
Principal Investigator |
池田 孝博 福岡県立大学, 人間社会学部, 教授 (90342401)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青柳 領 福岡大学, スポーツ科学部, 教授 (20184054)
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Keywords | 幼児 / 運動能力 / 二極化 |
Research Abstract |
幼児期における運動能力の二極化傾向を尖度に基づいて検討するため,幼児の体格および運動能力に関する18項目のデータから,3―4歳,4―5歳,5―6歳,6歳以上の各年齢区分について男女別に尖度を算出した,さらにその二極化傾向と性,年齢およびパフォーマンス特性との関連について,ダミー変数による重回帰分析を適用して検討した. 尖度による定義では,測定されたほとんどの項目で顕著な二極化傾向は確認されなかった.ただし,女児6歳の「立ち幅跳び」については尖度が小さく,ヒストグラムに基づいた視覚的確認でも二極化傾向を示す分布であることが示された.二極化傾向をパフォーマンス特性で観察した結果,運動スキルの「跳・投技能」,発現契機の「内的発現」,体力の「サイバネティック系」,「6歳」,「女児」ついて二極化の傾向との関連が大きいことが確認された.このことから,運動スキルに関する格差の就学後への持ち越し,身体活動量の性差や発達急進期における二極化の発現が危惧される.パフォーマンス特性の組み合わせの推定から,幼児期後期の女児における「ボールの的当て」のパフォーマンスは二極化傾向を示しやすいと考えられる. 体力・運動能力の二極化傾向についてはヒストグラムの形状からの検討が必要である.本研究は,幼児の運動能力が二極化傾向にあるという報告に基づいて,多面的な二極化傾向の一側面として尖度に注目した.つまり,得られた知見はそれに限定されたものであり,このような二極化傾向の操作的な定義に関して「研究の限界」を有している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の2年目にあたる平成24年度までに,研究計画時に目標とした2年間の継続的な測定作業による縦断的データの収集を達成した. また性・年齢ごとに体格・運動能力テスト項目に関する分布の尖度や歪度を算出し,尖度のみ,あるいは尖度と歪度の組み合わせによって二極化傾向の統計的定義を試みて,その実態を明らかにするとともに,二極化傾向と運動パフォーマンス特性の関連を検討することができた. また,幼児集団における二極化(格差)の検討のみならず,幼児個人における運動能力の偏り(もう一つの二局化)を明らかにする方法論も確認された,今後は分析結果を公表する予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
研究最終年度である平成25年度は,幼児の測定を可能な範囲で継続し,データ収集に努める.二極化傾向の確認については,これまで尖度のみ,または尖度と歪度の組み合わせから検討を行ってきたが,今後はヒストグラムの形状から分布を確認し,その傾向を把握するとともに,その類型化やパフォーマンス特性との関連性の検討を試みる. また,幼児集団内の運動能力の「格差」としての二極化だけでなく,「もう一つの二局化(中村)」という,個人内での運動能力の偏りの問題と生活環境との関連にも言及して行く. 平成25年度は,研究最終年度であるため,これまでの成果は関連する国際学会(ヨーロッパ体育学会:ECSS,アジア太平洋体育スポーツ学会:APCESS)や国内学会(日本体育学会,体育測定評価学会,発育発達学会など)において口頭発表・論文投稿を行い,年度末までに報告書の作成する予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(2 results)