2013 Fiscal Year Research-status Report
幼児の運動能力の二極化傾向とパフォーマンス特性との関連に関する研究
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23500677
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Research Institution | Fukuoka Prefectural University |
Principal Investigator |
池田 孝博 福岡県立大学, 人間社会学部, 教授 (90342401)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青柳 領 福岡大学, スポーツ科学部, 教授 (20184054)
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Keywords | 幼児 / 運動能力 / 二極化 |
Research Abstract |
研究期間の3年目となる今年度は,国内外の関係学会に参加し,研究成果の公表を行うとともに国際的な研究動向などについての情報収集を行った.本研究経費を利用して,参加・発表を行った関係学会は,ヨーロッパ体育学会(ECSS)(2013.6/26-29.スペイン,バルセロナ),日本体育学会(2013.8/28-30.滋賀県,立命館大学),アジア太平洋スポーツ学会(APCESS)(2013.11/2-4.台湾,台北市)である. 特に日本体育学会では,幼児期における運動能力の分布の形状を確認し,そのパターンを類型化することを目的に,年間2期2年間にわたって測定された体格および運動能力テスト21項目のデータを用いてヒストグラムを作成し,正規分布との増減の有無を確認した内容については研究発表を行った.ここで得られた成果としては,体格・跳技能は正規分布,操作技能は「劣偏」,走技能・敏捷性は「優偏」に類型化され,少数の操作技能の「エリート」と敏捷性や移動技能の「落ちこぼれ」が存在することが示唆された.また,マハラノビスの汎距離とホテリングのT2検定を行い,走技能・敏捷性(直線走)や量育・柔軟性、投技能における性差が確認された.この性差はいずれも女児のクラスターが正規分布に近い傾向を示した.なお,この発表は,日本体育学会測定評価分科会(日本体育測定評価学会)より,優秀発表賞を受賞した.さらに,平成24年度の研究成果を「幼児の運動パフォーマンスの二極化傾向と性,年齢,体力,運動スキルおよび発現契機との関連」として,福岡県立大学人間社会学部紀要に論文投稿を行い,受理・刊行された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
近年問題になっている子どもの身体活動量の二極化を背景とする,幼児期における運動能力の発達の著しい格差の実態を,尖度や歪度の統計量や,実際のヒストグラムの分布形状の数量化により,統計的に解析することを目的に研究に取り組んできた.これまでの研究活動によって,異なる手法による分析によっても,概ね同じような運動能力の分布傾向が確認されており,それぞれの方法の分析手法としての妥当性が示されていると考えられる.また,研究成果も学会や論文投稿によって公表され,かつ一定以上の評価が得られている.
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究期間を1年間延長し,4年間とした.平成26年度においては,これまで学会発表してきた研究成果について論文としての公表を行う.また,研究期間の最終年度にあたるため,期間中に本研究課題への取り組みによって得られた内容の集約作業を実施していく予定である.本研究では集団における格差の問題を中心に取り扱ってきた.今後は,子ども個人における運動能力の偏りの問題について取り扱う必要があると考えている.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度内の研究成果を,平成26年7月にオランダ・アムステルダムで開催される第19回ヨーロッパ体育学会(ECSS)において発表することとなった.その参加費用に充てるため,次年度使用額が発生した. 発表論文受理連絡(2014.4/1)後,参加費納付締切期間までに納金する.
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Research Products
(4 results)