2012 Fiscal Year Research-status Report
成功と失敗行動の予測-遂行機能連携の解明(TMS‐EEGによる非侵襲的介入検討)
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23500679
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Research Institution | Jobu University |
Principal Investigator |
竹内 成生 上武大学, ビジネス情報学部, 講師 (10329162)
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Keywords | 経蓋磁気刺激 / 事象関連電位 / 行動修正 |
Research Abstract |
本研究は『予測-遂行-評価』の行動様式における各処理段階の機能連携について解明することを目的としている.研究者は過去に予測と評価に着目し,行動の成否に関するフィードバック情報と同時に経頭蓋磁気刺激(transcranial magnetic stimulation; TMS)を阻害刺激として与え,フィードバックエラー関連陰性電位(feedback error-related negativity; fERN)の頂点潜時の遅延と行動の変化を報告した(Takeuchi 2010, ICCN2010).この結果を受け,本研究では予測と遂行機能に着目し,エラー誘発課題遂行下に遂行処理段階をTMSによって抑制し,成功と失敗に伴う予期-遂行-評価の処理過程とその機能連携を明らかにする. 平成24年度は,まず昨年度導入した脳波計測器を用いた測定状況下でのTMS機器使用検討を実施した.その結果,TMSと脳波の同時使用計測(TMS-EEG)が可能であり,且つ目的とするERP検討に耐えうることを確認した.次にTMS-EEG検討で使用する認知課題を用い,被験者25名を対象としたパフォーマンス検討を実施した結果,全試行に占めるエラー率は16.67%(SD:±7.23)であった.また,正解とエラーの反応時間はエラー試行で有意に早まった(p<.001).一方,エラー・正解の次試行での反応時間は有意傾向に留まった.パフォーマンス検討の結果を受け,TMS頻度を決定し,5名を対象にTMS-EEG実験の予備検討を行った.結果は現在検討中であるが,条件間の事象関連電位にTMSによる影響が示唆された. これら平成24年度に得られた結果を踏まえ,平成25年度は反応性エラー関連陰性電位のみならず,エラー関連陽性電位にも検討範囲を広げ,検討を進めるものとする.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は,パフォーマンス検討,ならびにTMSの同時使用による脳波データの検証を早期に完遂した.昨年度遅れていたパフォーマンス等の予備検討はエラー次試行での反応時間が有意傾向差に留まったものの,概ね先行研究に従ったエラー誘発率,ならびに反応時間差を検出した.その後に行ったTMS-EEGでの予備検討は現在検討中であるが,パフォーマンスと関連した波形変化が示唆されている状況である.このほか,TMSのタイミング制御誤差について検討すべき問題が生じており,認知課題プログラムの見直しを進めている. 上記報告したように,初年度に生じた問題から研究計画に若干の遅れと対処すべき点はあるものの,全体的な進捗状況としては想定していた範囲内であり,概ね順調に進行している.
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度実施したパフォーマンス検討で概ね事象関連電位による先行研究と同様な結果が得られたこと,ならびにTMS-EEGの予備検討の結果を踏まえ,平成25年度は反応性エラー関連陰性電位のみならず,エラー関連陽性電位も含めたTMS-EEGによる検討を進めるものとする. 尚,本報告書の達成度において報告したとおり,TMSのタイミング制御誤差について現在,検討している.誤差を最小化するために認知課題プログラムの見直しを進めると同時に,TMSのタイミングを反応時点から固定タイミング遅延させる制御についても検討視野に入れるものとする.当初の研究計画では対象被験者を継続参加としていたのに対し,両改善方策のいずれかを利用すれば,新規被験者でのTMS-EEG実験の参加が可能となると考えられる.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験・測定に関する環境整備状況が概ね整い,TMS-EEG実験を遂行中である.上記報告で述べたように,今後はTMS制御誤差のプログラム上の解決,ならびに遅延誤差を固定・最小化を可能とすべく,一部ソフトウェア・制御用ハードウェアの購入を検討する可能性がある.また実験遂行に伴い,被験者への謝金を拠出する.この他の主な支出計画として,学会参加などを含めた情報収集の機会に伴う旅費等の拠出,ならびに成果発表に関する校閲等費用の拠出を計画している.
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