2012 Fiscal Year Research-status Report
大学生における運動習慣の形成が自律神経機能とメンタルヘルスへ及ぼす効果
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23500682
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
水野 眞佐夫 北海道大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (10435943)
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Keywords | 運動習慣 / ストレス / 精神的疲労 / 自律神経活動 |
Research Abstract |
国家的課題である運動習慣の形成による心身の健康の保持・増進は、全ての生活領域に抱合され累年的規定性を有しているため、大学教育において運動の習慣化を実現できる力量形成を意図した教育実践が急務である。子どもから大人までメンタルヘルスに問題を抱える者が増加している我が国において、高等教育における最終学歴に属し、社会人として就職・結婚・家庭など新しい生活を間近に控えている大学生を対象とする精神的健康の保持・増進に焦点を当てた実践的研究は緊急な課題と位置づけられる。 平成24年度では、大学生12名を対象として運動習慣の形成の有無が身体的・心理的ストレッサー(非利き手の箸操作による豆移動課題、利き手筆記による計算課題である内田クレペリン作業課題、安静対照実験)に対する生体の応答と回復過程に及ぼす効果について、心拍変動パワースペクトル解析による自律神経活動指標、唾液アミラーゼ活性度、POMS法による気分変化とVAS法によるストレス度、ストループテスト法による認知機能(選択注意・抑制性)の評価を実施した。 本年度の実験的研究の結果、運動習慣を形成している学生は、利き手筆記による計算課題である内田クレペリン作業条件においてストレスの受容過程で主観的ストレスを抑制する効果を示すことが認められた。また、運動習慣を形成している学生は、非利き手の箸操作による豆移動課題条件におけるストレス受容過程で疲労感増加の抑制効果が示すことが認められた。さらに、運動習慣を保持することでストレス増加に伴う認知機能の低下を抑制する可能性が示唆された. 本年度の研究成果として、大学生における運動習慣の構築は身体的・心理的ストレッサーに対する抵抗力を高める効果があることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載された平成24年度に実施する研究内容に関する実験敵データ収集・分析が完了して、論文化が進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度(平成25年度)では、身体活動量の測定結果をベースにして、運動習慣の形成度と自律神経機能、及びメンタルヘルスとの関連の詳細な分析を行うことにより、心の健康の保持・増進にとって適切だと推定される運動頻度・強度・時間を含む運動習慣の内容と水準について解析を実施する。また、運動の習慣化のレベルの相違が身体的・精神的ストレッサーに対する抵抗力と回復力、並びに、積雪寒冷期におけるメンタルヘルスの応答へ与える影響を明らかにする。これらの研究成果を踏まえて、メンタルヘルスの保持・増進を意図した大学教育プログラムの改善に貢献するとともに、研究の問題点と今後の課題を明らかにして次期研究プロジェクトの企画に発展させる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度未使用額(4719.-円)の発生は、予定していた唾液アミラーゼ測定用チップの在庫切れで年度内納品が間に合わなかったためであり、平成25年度に購入予定である。
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Research Products
(4 results)