2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23500687
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
小林 日出至郎 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (10195802)
|
Keywords | 運動 / 競技 / 精神性 / 競争 |
Research Abstract |
本研究の目的は、『イリアス』の運動文化思想を研究し、人間の幸福に結びつく運動競技の精神性を解明することである。この目的を達成するためには、時代と地域を超える本質理解のための鍵概念;「競争」「闘争」「普遍的存在」「魂」等の再検討、これらの構造化と関係性の解明に基づく運動競技の本質理解が必要である。 平成23年度は、戦場と運動競技場面における「競争」「闘争」の状況を分析し、英雄の個性及び共通性を再検討し、時代と地域を超える運動競技に関する精神性の基礎的研究を行った。研究成果は、日本体育学会第62回大会(鹿屋体育大学、平成23年9月27日)において発表した。 平成24年度は、平成23年度の研究成果を踏まえ、「普遍的存在」である神々と英雄の関係から「競争」「闘争」において勝利をもたらす基本的要素「力」を探究した。結論として、「力」に関して、「不死なる存在」神々から影響を授かる英雄たちは、普通の状態を超える活躍を行うことが可能であることを、また、「賢明さ」を伴わないこの「力」は必ずしも彼らに勝利をもたらすことにはならないことが明らかにされた。研究成果は、日本体育学会体育哲学領域定例研究会(明治大学、平成24年12月8日)において発表した。 平成25年度は、平成24年度の研究成果を踏まえ、「力」に関する先行研究を探究すると共に、戦争と運動競技において活躍した英雄ディオメデスに焦点化し、「賢明さ」を伴う「力」の重要性を明らかにした論文「『イリアス』における競争に関する研究ー戦争と運動競技における英雄ディオメデスを中心としてー」(小林日出至郎、新潟大学教育学部研究紀要、第6巻第1号、pp.91-97、2013年)を発表した。 以上が研究実績の概要である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究に対する平成25年度までの研究達成度は、研究全体の3分の1程度であると判断する。理由は以下の通りである。 本研究の目的は、『イリアス』の運動文化思想を研究し、人間の幸福に結びつく運動競技の精神性を解明することである。この目的を達成するためには、時代と地域を超える本質理解のための鍵概念;「競争」「闘争」「普遍的存在」「魂」等を再検討し、これらの構造化と関係性の解明に基づく運動競技の本質把握が必要である。 平成23年度は、英雄たちの戦場と運動競技場面における「競争」「闘争」の状況を分析し、英雄の個性及び共通性を再検討し、時代と地域を超越する運動競技に関する精神性の基礎的研究を行った。平成24年度は、平成23年度の研究成果を踏まえ、「普遍的存在」神々と英雄の関係から「競争」「闘争」において勝利をもたらす基本的要素「力」を探究した。結論として、「力」に関して、「不死なる存在」神々から影響を授かる英雄たちは、普通の状態を超える活躍を行うことが可能であることが明らかになった。平成25年度は、平成24年度の研究成果を踏まえ、「力」に関する先行研究を探究すると共に、戦争と運動競技において活躍した英雄ディオメデスに焦点化し、「賢明さ」を伴う「力」の重要性が明らかになった。 しかし、先行研究による「力」に関するより厳密な分析が必要であり、この研究成果を踏まえた「力」と「賢明さ」の関係性の解明が、また、以上の研究成果を基本として、『イリアス』における「普遍的存在」と英雄の再検討が、そして、人間の幸福に結びつく運動競技の精神性の解明が、今後の研究課題である。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成26年度の研究の推進方策は「力」に関するより厳密な分析・検討を行い、これを基本とする「力」と「賢明さ」の関係性を探究し、「普遍的存在」と「競争」「闘争」という観点から、幸福に結びつく人類的視点としての運動競技に関する精神性の解明について、研究を行う計画である。 平成23年度は、英雄たちの戦場と運動競技場面における「競争」「闘争」の状況を分析し、英雄の個性及び共通性を再検討し、時代と地域を超越する運動競技に関する精神性の基礎的研究を行った。平成24年度は、平成23年度の研究を踏まえ、「普遍的存在」神々と英雄の関係から、「競争」「闘争」において勝利をもたらす基本的要素「力」を探究した。結論として、「力」に関して、「不死なる存在」神々から影響を授かる英雄たちは、普通の状態を超える活躍を行うことが可能であることを明らかにした。平成25年度は、平成24年度の研究成果を踏まえ、「力」に関する先行研究を探究すると共に、戦争と運動競技において活躍した英雄ディオメデスに焦点化し、「賢明さ」を伴う「力」の重要性が明らかになった。 しかし、先行研究における「力」のより厳密な分析が必要であり、この研究成果を踏まえた「力」と「賢明さ」の関係性の解明が、また、以上の研究成果を基本として、『イリアス』における「普遍的存在」と英雄の再検討が、そして、人間の幸福に結びつく運動競技の精神性の解明が、今後の研究を展開するための研究推進方策である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は、新潟大学教育学研究科学務委員長、学部長補佐等に任命され、大学院入試業務、教育学部ミッションの再定義に関する会議・業務等が多忙化し、基本的研究活動である次のような定例の研究会へ出席等があまり出来ず、研究が例年のように進行しなかったためである。日本体育学会体育哲学領域定例研究会、日本体育学会大会(体育哲学領域)、国際スポーツ哲学会等である。 平成26年度の研究費は、平成25年度までの研究成果を踏まえ、「力」に関するより厳密な分析検討を行い、これを基本とする「力」と「賢明さ」の関係性を探究し、「普遍的存在」と「競争」「闘争」という観点から、幸福に結びつく人類的視点としての運動競技に関する精神性の解明を推進する研究計画であり、このために、使用する予定である。 以上の研究を達成するために、次のように平成26年度の研究費を使用する予定である。先の研究を進めるためには、研究者からの専門知識の供与、電子機器等のさらなる整備、国内外で開催予定の学会参加による専門領域研究の情報収集等を行うことが必要である。平成26年度の研究成果は、国内で開催予定の体育・スポーツ学会及び研究機関誌において発表する計画である。
|