2011 Fiscal Year Research-status Report
体育教師の運動指導力向上を目的とした養成・研修プログラムの内容開発
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23500697
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
三輪 佳見 宮崎大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (00182064)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 運動指導論 |
Research Abstract |
23年度は、これまでの教職大学院における運動指導力向上を目指した取り組みの成果と課題について、教育実習を例にしてまとめ、九州体育・スポーツ学会のシンポジウムで発表した。 また、現職教員を対象として、器械運動の指導力向上に関して研究の指導を行った。その指導のなかで技の構造体系論的な分析を取り上げたところ、現職教員の技の認識に変化があった。つまり、指導する対象である技の構造的理解が不十分なまま指導を行っている状況があると考えられる。このように教師の運動指導力向上には、まず学習内容である運動の構造体系論的な理解が必要であることを確認した。そのうえで、運動指導に関わる教師養成・研修の内容として、子どもの実態に沿った指導体系を提供することが大切であると考えられる。そこで、ネット型ボールゲームを取り上げ、実践的に研究を進めることにした。今年度は幼稚園年長児と中学校第1学年の実践から、それぞれの子どもの実態を把握し、小学校における指導の起点と終点の設定を試みた。 まず小学校低学年児童の指導を実践するために、幼稚園の年長児のボール操作技能を調べた。年長児において、すでに技能の個人差が明らかになっており、小学校低学年の児童にも同様の問題が見られた。そこで、ボール操作については易しい条件にしてゲームを構成し実践した。一方、小学校高学年に関しては、ボレーによるボール操作ができない中学校の実態を踏まえて、軽量ではあるが、触球の感じが検定球と類似したボールを用いた。そして、「捕って投げる」ことから始め、ボレーによるボール操作に発展させた。その結果、中学生の実態に比べて、よりバレーボールに近い動きを発生させられた。以上のように異校種の情報を共有することによって、指導の起点と終点を見直し、これまでの小学校における授業を改善し、中学校の指導計画を立てるための示唆を得ることができ、論文にまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画どおり、長なわとびについて小中学校教諭に運動教材を提示したが、それによる対象者の変容については成果を捉えられていない。その代わりに器械運動に関して、運動構造分析に基づく理解によって、指導すべき運動の意味・価値に関する教師の認識の変化を確認した。また24年度から取り組む予定であったボール運動に着手し、小学校低学年と高学年の指導計画を作成し、授業実践をとおして考察を進めた。幼稚園・中学校との連携によって小学校における指導の起点と終点を設定したことから、系統的な運動の指導体系づくりに向けて、研究は順調に進捗しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
23年度に引き続き現職教員を対象に、器械運動以外の領域に関して、構造体系論的な分析による指導を行う。それによって、指導内容の認識にどのような変化があるか明らかにしていく。 また、子どもの実態に沿った指導体系の構築に向けて、23年度に行った小学校高学年の授業における教材開発の成果を生かして、中学校の授業内容の改善を試みる。その際、生徒の変容だけでなく、授業者の指導の変化についても考察していく。さらに小学校において、23年度は低学年と高学年を対象としたので、それらをつなぐ中学年の授業における運動教材の開発を行う。 一方、現時点における成果を国際的な学術会議で発表するとともに、海外における運動の系統的指導に関する資料を収集する。これらの資料に基づき、23年度とは異なる運動領域の教材開発に取り組む。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
運動教材の開発に関わる実践的研究を宮崎大学教育文化学部附属校スポーツ・体操教室、学部と附属校園の共同研究において行う。スポーツ・体操教室では、直接的な指導は研究代表者が行うことから、その指導の意図が子どもたちにきちんと伝わり、用具の準備、運動する際の用具の使い方など注意がいきわたるように、学生を指導アシスタントとして雇用するため、23年度とほぼ同額の謝金が必要になる。また教材開発に必要な消耗品の運動指導用具を購入する。 研究資料収集、研究成果の発表を、日本スポーツ教育学会や日本スポーツ運動学会など国内の運動指導関係の学会、さらにドイツにおける国際的な学術会議で行う計画であり、そのために旅費を支出する。 年度末に小中学校教諭と討議をしながら、24年度の成果と25年度に向けての課題をまとめるために、宮崎運動指導研究会を開催する。その運営補助として学生アルバイトを雇用する。
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Research Products
(3 results)