2012 Fiscal Year Research-status Report
体育教師の運動指導力向上を目的とした養成・研修プログラムの内容開発
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23500697
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
三輪 佳見 宮崎大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (00182064)
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Keywords | 運動指導論 |
Research Abstract |
23年度に引き続き、現職教員を対象として、運動指導力向上に関して研究指導を行った。中学校ハードル走の構造体系論的な分析では、跳-走の結合をとらえなおした。また小学校ゴール型ゲームについては、技術力と戦術力の統合的な競技力構造を確認した。これらの構造分析に関して研究指導を進めた結果、現職教員の教材づくりに変化が見られた。さらにゴール型ゲームについては、体育の専門的な商業雑誌に紹介した。 そのほかにも、運動指導に関わる教師養成・研修の内容として、用具を用いてボールを打つ動きの指導について、初心者の女子児童を対象としたバッティング指導の事例研究を進め、ドイツ語でまとめた。 また、23年度に年長児のボール運動や小学6年生のネット型ボールゲームの指導を行ったが、ここで把握した子どもの実態に基づいて、指導対象児童・生徒の進学後の小学校第1学年及び中学校第1学年の授業を実践した。小学校第1学年の授業では、幼稚園の年長児ができたゲーム課題を単元導入の内容に設定した。それによって、1年生には難しいゲームのルールの理解もスムーズにでき、進学時にしばしば生じる学習の躓きを解消できた。中学校第1学年の授業においても、小学校第6学年で実施した内容を指導の起点としたことによって、単元導入部ですぐにゲームの学習を始められた。しかも、教諭が以前実践していた授業に比べ、単元終了時の生徒の学習到達度が向上した。これらの成果について、論文にまとめた。 さらに、水泳におけるクロールの指導を取り上げ、小学3年生を対象とした事例研究を行った。息継ぎがうまくできない児童の動きを修正する方法を開発し、第8回日独スポーツ科学会議において、ドイツ語で成果を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画どおり、体育教師の養成・研修プログラムとして、ボール運動の指導を取り上げ、指導力向上につながる運動教材を開発した。ベースボール型ではバッティングの指導、ネット型とゴール型ではゲームの指導について事例的に研究を進め、いずれも論文にまとめた。その中でも、ネット型ボールゲームでは、幼小、小中のつながりに焦点を当て、学習者の運動経験と運動の構造分析に基づく指導体系の理解によって、教師の作成する指導計画が変わることが明らかになった。 また、ボール運動以外の領域でも、陸上競技のハードル走や水泳のクロールの指導について、実践的に研究にとりかかったことにより、25年度以降に発展させる基礎づくりができた。 以上のように、計画した運動領域だけでなく、他の領域に関して、実践的に研究を行っており、研究計画は順調に進捗しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度の研究で、運動の構造体系的な分析だけでなく、学習者の運動経験を把握することによって、教師の作成する指導計画が変わり、子どもの技能向上に成果が見られたことから、24年度と異なる領域あるいは種目について、同様に事例的に研究を進めていく。 また、国内外における運動の系統的指導に関する資料を収集するとともに、これまでに指導実践した運動領域に関する研究成果を、論文、教員対象の講演、学会発表等の形式で公表する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
運動教材の開発に関わる実践的研究を宮崎大学教育文化学部附属校スポーツ・体操教室、学部と附属校園の共同研究において行う。スポーツ・体操教室では、直接的な指導は研究代表者が行うことから、その指導の意図が子どもたちにきちんと伝わり、用具の準備、運動する際の用具の使い方など注意がいきわたるように、学生を指導アシスタントとして雇用するため、24年度とほぼ同額の謝金が必要になる。また教材開発に必要な消耗品の運動指導用具を購入する。 研究資料収集、研究成果の発表を、日本スポーツ教育学会や日本スポーツ運動学会など国内の運動指導関係の学会で行う。また、ボール運動の系統的指導の内容開発に関する研究資料を収集するために、異なる種目を横断するような運動教材をつくっているドイツのバル・シューレを訪れる計画であり、そのために旅費を支出する。 年度末に小中学校教諭と討議をしながら、25年度の成果と26年度に向けての課題をまとめるために、宮崎運動指導研究会を開催する。この研究会の運営補助として学生アルバイトを雇用する。
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Research Products
(4 results)