2013 Fiscal Year Research-status Report
武道必修化に向けた科学的エビデンスに基づく新資料の提供-柔道の衝撃負荷定量化-
Project/Area Number |
23500709
|
Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
河鰭 一彦 関西学院大学, 人間福祉学部, 教授 (00258104)
|
Keywords | 運動生理学 / バイオメカニクス / 身体教育学 / 武道学 / 柔道 / 骨強度 |
Research Abstract |
-柔道衝撃負荷の定量化-のためには、衝突速度、衝突時間、入射角、反動高などのパラメーターの測定が必要になってくる。衝突される物質の表面に対する、衝突する物質の接地面積はより重要な因子である。柔道場面に置き換えると「取」に「投技」を施された「受」が畳に接地し受身をおこなう際の最終動作形態(最終姿勢)が重要な因子になってくる。そこで、本年度は平成24年度に測定された実業団・大学柔道選手の「乱取」中に発現された「受身」最終姿勢資料を分析した。分析の方法は通常の統計手法ではなく、受身最終姿勢の発現を情報量としてとらえ情報エントロピー解析をもちいた。情報エントロピーを用いた理由は「受身最終姿勢の分析」のような事象に対して、分散を基礎とする統計をもちいることは本来適切ではない、とする研究上の立場から導かれた。分析方法は「受」に施された「投技」を以下に分類した。前額面のうち身体の重量を等分割する面を規定しこの面より①「前に投げる技」②「後ろに投げる技」③面上(平行)に投げられた場合を「横に投げる技」とした。技を施されたいずれの方向も腕をもちいない横受身の発生頻度が最も高くなった。つまり、実業団・大学生選手が実際の練習中(乱取り)に技を施された場合、選択する最終姿勢は「横受身」が多いことがあきらかになった。情報エントロピーをもちいた分析では「後ろに投げる技」の情報エントロピーが「前に投げる技」「横に投げる技」と比較して最大となった。また、「前に投げる技」と「横に投げる技」の情報エントロピーは近似した値であった。これは「後ろに投げる技」を施された「受」が取り得る最終姿勢は熟練した競技者でも統一した最終動作を取ることができず、多岐にわたる最終動作を選択していることが示唆された。これら研究成果は平成25年度に開催された第46回日本武道学会大会・第1回国際武道会議において研究代表者が登壇発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本課題を完全に達成するためには、「投技」を施された「受」動作解析が必要となってくる。その課題を遂行するために柔道投げ場面を撮影、解析を行っていたが、動作解析実施中に機器の故障並びに老朽化による修理不可能が判明した。その為、その後の実験が不可能となってしまった。
|
Strategy for Future Research Activity |
新しい動作解析システムが平成26年度設置されることがきまった。これまでおこなうことができなかった柔道投げ場面の測定をおこなう予定である。さらに「受身」最終姿勢時に発揮される実際の頸部筋力測定をおこなうことも予定している。被験者の理解が得ることができればDEXA法をもちいた頸部骨強度も視野に入れている。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は柔道の衝撃負荷定量化に必要な畳と「受」との間の接地面積を算出するために受け身最終姿勢の分析をおこなった。しかし、次の課題である柔道値下場面の動作解析を実施中、機器の故障並びに老朽化による修理不可能が判明した。その為、その後の実験が不可能となり、結果次年度使用額が生じた。 動作解析システムは人間福祉学部に設置される予定の機器と理工学部の機器を使用することとする。次年度における未使用額の使途内容は①動作解析に必要な消耗品(反射マーカ、記憶媒体等)、②頸部筋力測定に必要な消耗品(キッチンペーパー等)、③頸部筋力測定に必要なDEXA法測定量、④①~③の測定・実験における被験者謝金、⑤測定・実験に使用される旅費、⑥研究成果公表のための学会参加費用、⑦研究補助である。
|
Research Products
(1 results)