2012 Fiscal Year Research-status Report
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23500710
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
田中 新治郎 武庫川女子大学, スポーツ健康科学部, 教授 (70197432)
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Keywords | 体育科 / 運動文化 / 学習内容 / 指導方法 |
Research Abstract |
2年目の平成24年度はフィールドワークを行った。小学校の体育科授業において「デカスロン(陸上競技10種目)」を取り上げた授業実践について現地取材を行った。計6時間分の授業を映像に収録し、授業内の教師の発言、児童の発言をすべて文字に記録した。また、授業内容の分析・検討の基礎資料を得るために、授業者にインタビュー調査を行った。 この調査対象の授業における教科内容は、スポーツにおける勝敗・順位の基準作りであり、教材は古代オリンピック競技の資料を用い、学習方法はグループ集団をベースにした学級集団による問題解決型学習である。児童が小学校6年間を通じて学び親しんできた陸上競技種目を集大成し、学級の運動文化づくりとして4種目を選定し、得点の付け方、順位の付け方を児童自らの手で考案し、実際にその競技ルールで大会を企画運営するというものである。古代オリンピックの史実と照らし合わせ、また、学級内の様々な希望と意見を重ね合わせ、二つと無い学級独自の種目に仕立てるまでの様々な学びの姿、そうした中における教師の指導の在り方を分析結果として得られた。 体育科の教科学習において運動技能の習得にとどまらず、これまでの学習成果を活用して4種目競技を創り出し、その種目のなかにどのような競技者の思いが込められ順位が持つ意味を探求していく学習が可能であることが判明した。また、教師の指導は、学習者の知的興味を教科内容・教材にからめるように促し、様々な学習者の思いや意見を交流させ、活動的な学習を組織するところで発揮されていることが判明した。 スポーツ文化に関する学習内容と指導方法の開発に重要な示唆を得るものとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
体育科の授業における学習内容を開発する上で、貴重なデータが得られた。これによって、スポーツを文化的・歴史的な視点をあてて教科内容研究・教材研究を行うことが有効であることが判明した。 今後は、これをいかに指導方法として確立していくかという課題が残されているが、昨年度のデータをさらにコミュニケーション論の視点から分析することでより詳しい結果が得られるものと期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、フィールド研究で得られたデータをもとに、それを新たな体育学習の典型としてモデル化していく。 内容モデル、教材モデル、指導モデルに分けたうえで総合的な教育(実践)モデルを開発する。 研究会を主催し、意見聴取を行う。 研究成果をまとめ、発表・報告する。 25437円の未使用金が生じたのは、アルバイト謝金を3人分と見込んでいたが、2人分で済ませることができたためである。研究成果の整理保存のために平成25年度の物品費に繰り入れて使用する計画である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
さらに運動文化研究の理論化を進めるために調査・資料収集・意見聴取のための旅費、専門的知識の提供への謝金、データ化に際しての人件費、研究成果物の作成・保存・整理に消耗品に経費を充てる。
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Research Products
(5 results)