2013 Fiscal Year Annual Research Report
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23500710
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
田中 新治郎 武庫川女子大学, 健康・スポーツ科学部, 教授 (70197432)
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Keywords | スポーツ文化 / 学習内容 / 指導方法 |
Research Abstract |
本研究がスタートした2011年に、わが国に「スポーツ基本法」が制定された。その基本法の前文では、「スポーツは、世界共通の人類の文化である」と書き出され、続いて「スポーツを通じて幸福で豊かな生活を営むことは、全ての人々の権利」であると明記された。それと同時に2011年3月11日には「東日本大震災」が起こり、津波による被害と原子力発電所の事故を引き起こした。スポーツ文化を学校体育の学習内容として取り上げ、それにふさわしい指導法を開発していこうとする本研究にとって「スポーツ文化」にとっても「学習内容」「指導法」にとっても根本的な見直しが迫られた。 大量生産・大量消費をもたらした近代生産様式はスポーツ様式をリードしてきた。しかし、これが深刻な自然環境の破壊をもたらすばかりではなく、人間的自然にも深刻な変化をもたらしている。スポーツ文化の転換が求められているが、現在はその転換の過渡期である。まさにこの過渡期における体育指導の在り方が求められている。 したがってスポーツ文化の生成・発展・転換の過程が学習内容として編成されなければならない。しかしそれは理念的な学習にとどまらない。体育実技をともない、そこで生じたスポーツ事象を内容化していくこと、そしてその事象の当事者として学習者を位置づけ、様々な意見の対立や葛藤を経てスポーツ文化の豊かな意味を経験する学びが必要となる。それには、従来の一致協力や合意形成にとどめない異質協同による意味構成的な学びが有効である。
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