2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23500712
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
鈴木 裕子 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (40300214)
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Keywords | 身体的な感性 / 身体的な相互行為 / 幼児 / 相互模倣 / 発達的特徴 / 模倣される子ども / 身体性 / 事例研究 |
Research Abstract |
本研究は,保育現場において,子どもの「身体的な感性」の育ちの様相を捉え,子どもたちの身体的な相互行為を機能させ,豊かに育む視点を実証的に検討することを目的とした。具体的には,幼児期の子どもにとって,子ども間の身体による相互行為が,どのような要因によって成立しているのかに焦点を当て,特に,模倣された子どもに着目し,そこから広がる身体による相互行為の事例の分析と論証を試みた。平成25年度は,2つの研究を行い,以下の成果を得た。 1)幼児間の身体による相互行為の発達的特徴:23年度の3歳児,24年度の4歳児に引き続き,5歳児を対象とした縦断的な観察によって,幼児間の身体による相互行為の発達的変化を考察した。その結果は,①模倣されたことから広がる身体による相互行為は,4歳になっても消失しないが,3歳に比べて減少し,5歳ではさらに減少した。②模倣された子どもすなわち受け手側の意識が,3歳児,4歳児,5歳児でそれぞれ異なっていた。3歳児では,同調や同期を繰り返すこと自体を楽しむ傾向が強かった。4歳児では,他者に対して,自分を模倣することを意識的に促したり,他者を誘うために模倣を仕掛けたりといった方略を用いることができる様子が見られた。5歳では,自己の欲求を調整して,それを動機とし,自然な自己表現の連鎖が生まれていた。そして,それらは,ナラティブ的思考と論理的思考の共存によって成り立っているようであった。 2)5歳児において身体による模倣が減少する要因の検討:減少した模倣に替わって身体による相互行為を支える要因を検討した結果,①全体をイメージしながら他者の行為の部分を切り取って自分の行為に取り入れる,②自分を客観的に捉えて場の状況を語って仕掛ける,という2つの行為が,模倣行為にもたらされる機能に入れ替わるようにして5歳児の身体による相互行為に現れることが認められた。
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Research Products
(4 results)